古今和歌集を読む

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かれ果てむ後をば知らで夏草の深くも人の思ほゆるかな

#凡河内躬恒 (おおしこうちのみつね) #古今和歌集 #0686 #jtanka #恋 結局はあの人と別れてしまうかもしれないのに、私はそんな将来のことを考えもせず、あの人のことを、夏草が深く繁るように深く思っているんだよなあ。 「かれ」は「枯れ」と「離れ(かれ)」に掛けている。「枯れ」は「草」の縁…

春霞たなびく山の桜花見れども飽かぬ君にもあるかな

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 684 #jtanka #恋 春霞がたなびいている山の桜はいくら見ても飽きることがありません。それと同じように、いくら逢っても飽きることはないんですよ、あなたには。 「春霞たなびく山の桜花」は序詞。意味でつながっているので、これは有心の序(うしんのじょ)…

夢にだに見ゆとは見えじ朝な朝なわが面影に恥づる身なれば

伊勢(いせ) 古今和歌集681 #jtanka   夢の中ですら、あなたに逢うたびに逢うまいと思うのです。毎朝毎朝、鏡に映る自分の思いやつれた姿を恥ずかしいと思っている身ですから。 「だに」は「……ですら」という意味。ここでは実際に逢うことと夢で逢うことを比較している。 「とは」は連語で「………

君といへば見まれ見ずまれ富士の嶺の珍しげなく燃ゆるわが恋

#藤原忠行 (ふじわらのただゆき) #古今和歌集 680 #jtanka #恋 あなたのことになると……誰かが見ていても見ていなくても、ずっと燃え続ける富士山のように……あなたに逢おうが逢うまいが、私の恋はずっと燃え続けているのですよ。 「君」は「私が恋しく思っているあなた」のこと。 「いへば」…

逢ひ見ずは恋しきこともなからまし音にぞ人を聞くべかりける

#読人しらず #古今和歌集 678 #jtanka #恋   もしもあなたに逢わなかったならば、これほど恋しく思うこともなかったでしょうに。あなたのことはただの噂としてだけ聞くべきだったのでしょうねえ。 「見ずは」は「見+ず+は」。「見」は動詞「見る」の未然形。「ず」は打消の助動詞「ず」の未然形。…

君によりわが名は花に春霞野にも山にも立ち満ちにけり

読人知らず 古今和歌集675 #jtanka   あなたのせいで私の恋の噂はパッと広まってしまいましたねえ。それはまるで、花にかかる春霞が野にも山にもいっぱいに広がるように。 「名」は、ここでは「浮き名」のこと。 「立ち満ちにけり」の「立つ」は「浮き名が立つ」と「霞が立つ」の両方の意味がある。…