古今和歌集を読む

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春雨ににほへる色も飽かなくに香さへなつかし山吹の花

春雨ににほへる色も飽かなくに香さへなつかし山吹の花

#読人しらず #古今和歌集 122 #jtanka #短歌 #春 春雨でつややかに美しい色も飽きないのに、色だけではなく香りまでも心ひかれる山吹の花ですねえ。 「にほへる色」は「にほへ+る+色」。「にほへ」はハ行四段活用「にほふ」の已然形。〔は・ひ・ふ・ふ・へ・へ〕。「る」は完了の助動詞「り」の連体形。「にほへる色」は「つややかで美しい色」のこと。 「にほふ」の「に」はもともとは「丹」で、赤い色が浮き出て目立つようすが原義で、現代の嗅覚に関わる意味はありませんでした。

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紅の初花染めの色深く思ひし心われ忘れめや

紅の初花染めの色深く思ひし心われ忘れめや

#読人しらず #古今和歌集 723 #jtanka #短歌 #恋 初咲きの紅花で染めた色が深いようにあなたのことを深く思っていたこの心を私が忘れることがあるでしょうか。いいえ、忘れることはありません。 「紅(くれなゐ)」は紅花(べにばな)の異称。 「初花染め」は、その年初めて咲いた紅花で染めること(染めたもの)。 色が深いことと、思いが深いことを掛けています。 「忘れめや」は「忘れ+め+や」。「忘れ」は下二段活用動詞「忘る」の未然形。「め」は推量の助動詞「む」の已然

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わが恋をしのびかねてはあしひきの山たちばなのいろに出でぬべし

わが恋をしのびかねてはあしひきの山たちばなのいろに出でぬべし

#紀友則 (きのとものり) #古今和歌集 668 #jtanka #短歌 #恋 恋心を隠しておくことができなくて、私の慕う気持ちは山たちばなの赤い色のようにはっきりと表に現れてしまうでしょう。 「あしひきの」は「山」の枕詞。 「いろに出づ」は「内にある気持ちが、ふるまいや表情などを通して外に現れる」の意味。 「いろ」は「色」と「表情・そぶり・顔色」の二つの意味を掛けています。496も参照。 「しのぶ」という単語は「忍ぶ」(がまんする)と「偲ぶ」(ひそかに慕う)があり

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