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古今和歌集を読む

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古今和歌集(こきんわかしゅう)から親しみやすい歌を読みます。やさしい解説付き。ちょっぴり優雅な言葉の時間をあなたに。
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2019年10月の記事一覧

大空は恋しき人の形見かは物思ふごとにながめらるらむ

#酒井人真 (さかゐのひとざね) #古今和歌集 0743 #jtanka #短歌 #恋 大空は恋しいあの人の思い出の品なのでしょうか。いえ、そんなことはありません。なのに、物思いにふけるたびに自然と大空をぼんやりながめてしまうのはどうしてなのでしょう。 「形見」はここでは「昔を思い出させる記念のもの」の意味。 「かは」は反語を表す係助詞。 「ながめらるらむ」は「ながめ+らる+らむ」。「ながめ」はマ行下二段活用の動詞「ながむ」の未然形。「らる」は自発の助動詞「らる」の終

秋風に山の木の葉のうつろへば人の心もいかがとぞ思ふ

#素性法師 (そせいほうし) #古今和歌集 0714 #jtanka #短歌 #恋 秋風で山の木の葉の色があせていくように、人の心も移り変わっていくものですから、私が好きなあの人の心もどうなのだろうと思わずにはいられません。 「あきかぜ」は「秋」と「飽き」を掛けています。 「うつろふ」は「木の葉の色づきが変化していく」ことと「人の心が変化していく」ことを掛けています。 「うつろふ」は、変化していくようすを表します。色について好ましい変化ならば「色づく」意味になるし、好