さくら花ちりぬるかぜのなごりには水なき空に浪ぞたちける
#紀貫之(きのつらゆき) #古今和歌集 91 #jtanka #短歌 #春
さくらの花が散ってしまった風がやんだ後でも、水もない空に波のように花びらは舞っているなあ。
「なごり」は「波残り」で「風がやんだ後でも残っている波」がもとの意味。
「ける」は詠嘆の助動詞「けり」の連体形。連体形になっているのは「ぞ〜ける」の係り結びから。
風がやんだ後にはらはら舞っている花びらのようすを、風が止んだあとでも残っている波のようだと感じている。空を海に、花びらを波に見立てている。