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ラノベ大好きな中学三年生です。どうしたら作家になれますか?(Q&A)

※ほぼ半分を無料公開しているノートです。

こんにちは、結城浩です。

「結城メルマガ」読者さんからの質問に答えるコーナーです。

質問の文章は結城が編集する場合があります。また、複数人の質問をまとめさせていただく場合もありますので、ご了承ください。

●質問

中学三年生です。結城先生に質問あるのでメールします。
ラノベ大好きで、作家になりたいと思ってます。
どうしたらなれますか??
数学ガールはむずかしかったけど、おもしろい話で楽しかったです。

●回答

メールありがとうございます。
結城の本を読んでくださって感謝します。

中学生が結城メルマガを読んでいるというのはめずらしいですね。親御さんが買ってくれているのかしら。まあ、それはさておき。

どうしたら作家になれるか、という質問ですね。

結城は自分のことを「作家」という肩書きで呼んでいいのか、よくわかりません。確かに本を何冊も書いていますが、技術書が多く、厳密な意味では「小説」を書いていないように思うからです。

まあ、でも、そのへんの細かい話はわきにおいて、あなたの「どうしたら作家になれるか」という質問に、結城なりに答えてみますね。何かの参考になればいいのですが。

まず、作家になるのに何も資格は要りません。ですから、原理的な話をするなら「私は作家です」と宣言すれば、作家になることができます。でもあなたはそんなことをやりたいわけではないですよね。

あなたはきっと、お仕事として小説を書きたいのでしょう。物語を書く、作品を書く…あなたが書くものを何と呼ぶかは場合によるでしょうけれど、ともかく「書く仕事をしたい」のだと思います。

「作家は最後の職業」という言葉があります。確か、作家の村上龍さんがおっしゃったセリフだと思います。

「作家は最後の職業」というのは、いろんな職業を経た後で、その経験を生かして、「文章を書く作家」という仕事をすることができる、という意味です。

つまり「作家になるにはもう遅い」ということはない、ということです。プロ野球の選手の場合、年齢的にもう遅いということはあるでしょう。プロのピアニストも、プロのお医者さんも、年齢的にもう遅い、ということはあるでしょう(あるのかな?)。でも、プロの作家になるのに「もう遅い」という年齢はないのです。

別の言い方をするならば、どんな経験でも、どんな仕事でも、すべては作家になるための勉強になりうるということです。

本屋さんに行くと、そういう本がたくさん並んでいますよね。つまり、自分の過去の職業や体験をベースにして書いた作品が本として並んでいます。

ですから、もしもあなたが作家になりたいなら「自分が経験する毎日を大事にする」のがいいと思います。どんな小さなことも、どんな退屈なことも、貴重な体験として味わい、覚えておくことが大切です。

いいですか。他の人が「つまらない」や「取るに足りない」と思うことであっても、やさしく手でつかみ、ていねいに包んで心の中にそっと蓄えておくのですよ。それはいいことです。

蓄えておくのは、楽しいことや嬉しいことだけではありません。さみしいこと、くやしいこと、つらいこと、どうにもならないことも、まるごとすべてしっかり捕まえておくのです。これをまちがえないでくださいね。

とはいっても、そんな精神論に終始していてはつまらないので、もう少し「文章を書く」あるいは「本を書く」という話にフォーカスを当てて話を続けましょうか。

※ここまででおおよそ半分です。もし「おもしろそうだな」と思った方はぜひご購入をお願いします。

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