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片糸をこなたかなたによりかけてあはずは何を玉の緒にせむ

#読人しらず #古今和歌集 483 #jtanka #短歌 #恋

糸でひもを編むようにあちらこちらに気持ちを動かしてみても、あなたに逢わないとするなら、いったい私は何を命として生きていきましょうか。

「片糸(かたいと)」は、よりあわせる前の細い糸のこと。

「こなた(此方)」は「こちら側」のこと。

「かなた(彼方)」は「あちら側」のこと。

「あはず」は、「合はず」(糸がより合わされないこと)と「逢はず」(私とあなたが遭わないこと)とを掛けています。

「玉の緒(たまのを)」は、玉を貫くひものことで、「玉(たま)」を「魂(たま)」に掛けることで「命」や「生命」を表します。

ここでは、糸のことと恋するあの人への気持ちのことを同時に語っています。

細い片糸をあちらこちらに動かして玉を貫くひもとして合わせようとしてもうまくより合わせることができないなら、いったい何をもって玉を貫くひもとしましょうか。

あちらこちらに心を動かしあなたに思いを掛けても、あなたに逢えないとしたら、いったい私は何を命として生きていきましょうか。

かたいとを こなたかなたに よりかけて あはずはなにを たまのをにせむ
かたいとを こなたかなたに よりかけて あわずはなにを たまのおにせん


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