
父から学んだ「教える」ということ[Part 2](教えるときの心がけ)
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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2012年8月28日 Vol.022 より
こんにちは、結城浩です。
「教えるときの心がけ」のコーナーです。
Part 1では、中学教師だったいまは亡き父の「雑談」の話や「職場見学」の話などを書きましたね。それから教師こそ「勉強」しなくちゃという話も。 今回はその続きです。
●食卓にて
夕食の食卓で、父はよくいろんなことを話してくれました。父は中学校の理科の教師でしたから、科学的な話…特に物理学的な話が多かったです。
電池の直列と並列の話、電流の流れの話、フレミングの法則、磁力線の話、音波や電波の伝わり方、ドップラー効果…父は、そういった内容を、食卓に紙を広げて説明してくれるのです。
たぶん結城が聞いたのは小学生の頃だと思うので、父のそのような科学の話もどれだけ理解できたかあやしいものですが、その後、中学生・高校生になったときには少し役に立ったのかなあと思います。
でも、結城がよく思い出すのは、父が教えてくれた知識そのものではなく、そのときの父の態度です。テレビなどで科学的な話題がちらっと出て、私が「?」という顔をしていると、父が母に言います。
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本を書いて生活しています。著書は『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など多数。詳しい活動内容は https://mm.hyuki.net/n/n5f00c9cd281c をご覧ください。2014年度の日本数学会出版賞を受賞しました。