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東雲の朗ら朗らと明けゆけばおのがきぬぎぬなるぞ悲しき

読人しらず 古今和歌集637 #jtanka 

東の空はしらじらと明けてきて、あなたとわたしはそれぞれの服を着て別れていく。それは、ほんとうに悲しい。

「東雲(しののめ)」は「夜明け」の意味。

「朗ら朗ら(ほがらほがら)と」は次第に夜が明けていく様子を表す副詞。

「明けゆけば」は「明けゆけ+ば」。「明けゆけ」は「明けゆく」の已然形。「ば」は接続助詞。「已然形+ば」は順接確定条件。「明けゆけば」は「明けてゆくので」の意味。

「おのがきぬぎぬなる」は「おの+が+きぬぎぬ+なる」。「おの」は「私」。「が」は格助詞。「きぬぎぬ」は「二人の服を掛けて寝た二人が朝になってそれぞれの服を着ること」で「後朝(きぬぎぬ)」の語源。「なる」は動詞「なる」の連体形で「……という状態になる」の意味。「おのがきぬぎぬなる」は「私たちがそれぞれの衣服を着る(そして朝の別れをする)」の意味。

「ぞ……悲しき」は係り結び。強意の係助詞「ぞ」に対し、シク活用の形容詞「悲し」は連体形「悲しき」で結んでいる。

しののめの ほがらほがらと あけゆけば おのがきぬぎぬ なるぞかなしき

※Photo by webtreats.
https://www.flickr.com/photos/webtreatsetc/5459627931/

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