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クリエイタは「うらみ」と「うらやみ」にエネルギーを奪われるな

他人をうらむためのエネルギーや、他人をうらやむためのエネルギーはとても大きいものです。しかもそのエネルギーによって自分がにごっていきます。

あなたがクリエイタなら、恨みと羨みに自分のエネルギーを奪われないようにしなければなりません。

恨みと羨みはエネルギーをどんどん奪います。ほんとうにそう思います。

「あいつ、腹が立つ」という恨みや、「あいつ、羨ましい」という羨みは、大きなエネルギーを自分から奪っていき、自分には何も残しません。

残さないどころか、自分の次の活力まで奪ってしまいます。ということは、次のステップでは、恨み羨みが二倍増しになってしまいかねません。

与えられた能力や機会というのは人それぞれです。それなのに、特定の誰かと自分を比較するのは無意味です。人はそれぞれに能力も機会も違い、そしてもちろん悩みや困難も違います。A氏はA氏の悩みがあり、B氏にはB氏の困難がある。前提条件が大きく異なっているのに、比較することは無意味なのです。

でも。

「比較するのは無意味」というのは百も承知なのに、どうして、つい、比較してしまうんでしょうか。A氏に比べたらわたしはだめだ。Bさんに比較したら僕は価値がない。そんなふうに、つい思ってしまうのはなぜでしょうか。

 * * *

結城はこう思います。読者のことを考えていないから、と。《読者のことを考える》というのが原則です。クリエイタが他のクリエイタと比較して「自分はだめだ」と思うとき、その判断の中に「読者」がいない。自分がクリエイトするものを受け取る人のことを考えていない。だからまずいのではないでしょうか。

あなたの作品には、読者がいる。

あなたの活動には、応援団がいる。

ひとりかもしれない。ふたりかもしれない。でもそれは、あなたの作品の読者であり、あなたの活動の応援団です。そこに目を留めるのがいい。目を留める先は、気鋭クリエイタA氏でも、ベテランBさんでもない。大事なのは、あなたの読者、あなたの応援団です。

あなたがあなた自身のことをどう評価しているかは、ある意味どうでもいいのです。読者があなたのことをどう評価しているかの方が大事です。読んでくれる人がいる。応援してくれる人がいる。そこが最重要ポイントです。読者を意識し過ぎるのはよくないけれど、他のクリエイタと自分を比較するよりは百万倍いいのです。

あなたの作品は、あなたにしか作れない。作品の良し悪しは、結果に過ぎません。あなたの作品は、あなたにしか作れません。あなたの読者は、あなたの作品を求めています。だとしたら、あなたのやることは、自分の作品をていねいに作ることだけです。他のクリエイタと自分を比較するなんて時間の無駄です。

あなたは自分に能力がないという。

あなたは自分に才能がないという。

それはそれとして、あなたは自分の時間を何に使いますか。能力はない。才能はない。でも、あなたには時間がある。その時間を何に使いますか。

つまり、そういうことです。あなたに期待する人がいる。あなたの作品を待ち望んでいる人がいる。あなたには、たとえ才能も能力も名声も財産もないとしても、時間はある。その時間を誰のために使うか。何のために使うか。それは、あなた次第です。あなたの意思次第なのです。

だから、がんばりましょう。無理する必要はありません。あなたの読者のために、あなたの応援団のために、あなたの時間を使おう。できる範囲でかまわない。あなたに与えられたすばらしい財産は、時間だ。その時間を何に使うかは、あなたの気持ち次第で決まる。

過去を悔やみ、他者と比べ、他人を恨み、他人を羨み、自分を見下し、運命を嘆き、機会損失を悲しみ、未来を憂い、世界を呪い、周りにいる人々に怒る。それに時間を使うのは、あなたの自由だ。

応援してくれる読者に送る次の作品を作ることに時間を使うのも、あなたの自由だ。

どちらを選ぶか。

選択肢は、あなたの前に並んでいる。

 * * *

結城は何かを「作りたい」という気持ちを応援したい。自分を「表現したい」というのでもいい。それは、人が生きる上で根源的な欲求です。「自分の思いを形にして人に送りたい」という願い。あなたにもあるはず。

コンピュータのおかげで、私たちは「何かを作ること」が特別じゃないと知りました。

インターネットのおかげで、私たちは「何かを発表すること」が特別じゃないと知りました。

作ることは特別だとか、発表することは特別だと主張する声がある。特別だからおまえにはできないという声がある。そんな声は無視して、作ろう。そんな声は無視して、発表しよう。

世界は求めている。私たちが、他でもない私たちが、何かを作り発表することを。評価基準は単純じゃない。地球の裏側に、あなたの作品を楽しむ人がいてもおかしくない。インターネットも翻訳ソフトも、地球のどこかにいる「誰か」に、あなたの作品を届けてくれる。そこに意味がある。

結城は、「何かを成し遂げたい!」と強く願う人を応援したい。

がんばれ・大丈夫だ・やってみよう・めげるな・挑戦だ・応援してる・チャンスだ・しっかり・あなたのやり方で……

結城は、そんな励ましのメッセージを、絶えまなく送りたい。誰しも、不安なのだ。とてつもなく、不安なのだから。

(そして、自分自身にも、そんな励ましのメッセージを送りたい)

 * * *

あなたが、恨みや羨みを行使することで幸せになる人は、世界中に一人もいません。

自分のエネルギーを、自分の時間を「恨み」や「羨み」に注ぐのではなく、自分の作品に注ごう。

自分の作品を待っている人のために注ごう。

自分の活動を応援してくれる人のために注ごう。

それで幸せになる人がたくさんいるからだ。

その一人は、あなた自身だ。

結城は、そんなふうに思うのです。

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結城浩のメールマガジン 2017年7月4日 Vol.275 より

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