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就活に向けて「自分の得意なもの」を判断したいが、どうしたらいいかわからない(仕事の心がけ)

質問

学部三年の者です。

結城さんは「自分の得意なもの」を判断する基準は何だとお考えですか。

そろそろインターンを含む就活や院進を意識して動かないといけないのですが、将来何をしたいのか決まりません。

「何もしたくない」のではなく「やりたいことや興味関心のある分野が多すぎて決められない」という状態です。

そこで「自分の得意なもの」 を基準に考えてみようとしたところ、今度は自分の得意なこととは一体何なのかという問題にぶつかり先に進めずといった状況です。

これまで「自分の得意なもの」は何かを探るために、数学、生物、法律、経済、プログラミング、哲学というさまざまな分野に手を出してきましたが、どれも自分では得意だと確信はできません。

ぜひお考えをお聞かせください。

結城浩のメールマガジン 2018年6月19日 Vol.325 より

回答

ご質問ありがとうございます。

まず、「好き・嫌い」が自分で判断するものなのに対し、「得意・不得意」は他人から判断されるものじゃないでしょうか。

この活動は好き、この分野は嫌い、というのは自分の気持ちですが、得意・不得意というのは他人の判断や評価も大事になるという意味です。

その意味では、普段からさまざまな種類のアウトプットを出し、他者から何らかの評価を受けておくというのは、得意・不得意を知る上で大切なことだといえると思います。これまであなたは、自分の活動で第三者から評価を受けたことはあるでしょうか。

わたくしごとで恐縮ですが、結城は周りの人から「説明がうまい」「わかりやすい文章を書くのがうまい」という評価をいただくことがよくあります(感謝)。なので、それが得意なのだなと認識している部分があります。自分自身ではなかなか判断はできないものです。

ところで、あなたのように、自分のやりたい分野がいっぱいあって決められないというのは結構なことです。多くの人が「やりたいこと」を見つけられないでいます。

その一方で「どの分野が得意か」に対する自己理解ではなく、もう少し抽象度を上げた自己理解が必要なのではないかとも感じました。たくさん関心があるように見えても、そのコアのところ、核になる部分に「共通の何か」はないでしょうか。

人は変化するものです。これが不得意だと考えていたのに実際にやってみたら得意だった。あるいは、これは嫌いだと考えていたけれど実際にやってみたら意外に好きだったということもあります。少なくとも表面的な活動に関しては変化する場合があります。でも自分のコアの部分の価値観や興味・関心はあまり変化しないように思います。

ということで「自分の得意なもの」を判断するときには、

・自分の考えだけではなく、他者からの評価はどうか
・関心のある具体的な分野だけではなく、抽象度を上げたときの「共通の何か」はないか

を考えてみてはどうでしょうか。この二つをまとめるなら「自分自身を多面的に見る」ということになるわけですけれど。

あなたが、よい進路を見つけることができますように。

ご質問ありがとうございました。

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