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高校で数学の難易度が急上昇する理由(学ぶときの心がけ)

質問

数学は、中学校までなら何とかついていけましたが、高校になるとさっぱり分からなくなりつまらないです。

中学数学から高校数学へ移るときに、どうして難易度が急に上がるんでしょうか。

結城浩のメールマガジン 2019年6月25日 Vol.378 より

回答

ご質問ありがとうございます。

あなたの質問への直接的な回答というわけではありませんが、思うところを書いてみます。

私も高校に入ったとき、あなたの質問と似たようなことを感じました。つまり「難易度が急上昇した!」と感じたのです。でも私は、高校数学そのものの難しさだけではなく、

 先生との距離感の変化

が大きな要因の一つだぞと気付きました。

小学校、中学校、高校、大学と進むとして、次第に先生の「至れり尽くせり度」は減っていきます。「至れり尽くせり度」というのは変な表現ですけれど、要するに先生が生徒をお世話する度合いという意味です。

私の場合、その「至れり尽くせり度」が減っていき、先生との距離感がやや遠ざかっていく……勉強の難しさだけではなくその距離感の変化にとまどうことが多かったのです。

距離感の変化を察知して、そこを埋めることがうまくいったとき、私の場合は新しい学校での流れに乗ることができたように思います。

抽象的になったので、もう少し具体的に書きますね。

中学校で学ぶ数学は、内容はやさしい上に、先生も丁寧でフォローも細やかです。当然、生徒はそのペースに慣れていきます。無意識のうちに「先生はこのくらいまで教えてくれるぞ」という感覚が身についてしまうのです。もちろんそれ自体は悪いことじゃありません。

高校で学ぶ数学は、中学で学ぶ数学よりも内容が難しくなります。抽象度も上がります。でも、それだけじゃありません。先生のフォローが中学時代に比べて減ります。ですから、余計に難易度が急上昇したと感じるのです。

私が言いたい「至れり尽くせり度の変化」や「先生との距離感の変化」というのはそういうことです。伝わりましたか。

中学校だと「生徒がひっかかるであろう注意点」をていねいに解説してくれます。本当に身についたかを確かめてくれます。高校ではその度合いが変わります。

高校で「難しいぞ」と感じたときに、

 「そうか。この場では、自分から動いて疑問を解消しようとしなければまずいんだ!」

のように気付けるかどうか。そして、実際に疑問を解消するために自分から行動できるかどうか。これはとても大きなポイントだと思います。

高校で「難しいぞ」と感じたときに、

 「どうして、先生はもっとわかりやすく教えてくれないんだろう。わけわかんない!」

と学校や先生に不満を感じる人は多いはずです。それが悪いわけではありませんけれど、そこで自分の意識を変えることが大事です。すなわち、

 「ははーん、ここが中学と高校の違いだぞ。中学のままの意識ではまずいぞ。自分から動かないと次第にたいへんになるぞ!」

と意識し、行動するのです。

結城は、ここまで述べたことを高校生になって早い時期に感じました。ですから、先生を追いかけるようにして質問しに行きました。いまにして思えば「もう少し自分で考えた方がよかったのでは」や「そんなどうでもいい質問をしにいくなよ」と思わないではありません。でもともかく、私は自分が動くことで、中学と高校のギャップを埋めることを試みたのだと思います。

ありがたいことに、高校の数学の先生は、私がしつこく質問してもきちんと答えてくれました。しょうもない質問に対しては苦笑しながらも、決して怒ったりバカにしたりしませんでした。そのおかげもあって、うまく中学数学から高校数学に意識をシフトできたと思います。

(ちなみに、高校から大学のときは意識をあまりシフトできなかったですね。その時代は数学よりもコンピュータに夢中になったからです。まあ、それはそれでしょうがないですね)

自分の「わからない」をどう解決するか。毎日、目の前に先生がいて教えてくれる環境をどう生かすか。それは、あなた次第です。

ご質問ありがとうございました。

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