見出し画像

ノートとお金とコミュニティ(日々の日記)

すげー!ノートってすげーよ!デジタルコンテンツが個人から個人へ。中間マージン極小で渡せるなんて!私はこれで生活していこう!

……と思う人がいるかどうか。

今日は「ノートとお金とコミュニティ」という話を書きましょう。

みなさんがご存じのように、ケイクスが始めたnote(ノート)というのはなかなか興味深いプラットホームです。テキストを書く人も、音楽作る人も、動画作る人も、ブログ感覚で作って、しかも販売できる!すげー。

しかし、それと同時にすぐに気付くことがある。「あ、あれ?自分のコンテンツ、意外と売れない?」ということ。売れないというか、自分の読者・リスナー・聴衆にどうやってリーチするの?という問題は各人に委ねられている。

たとえば、「意識高い」クリエイターはTwitterで自分のファンを抱えている。そしてツイートを使って自分のコンテンツを宣伝する。

でも、これから自分のコンテンツを作ってファンを獲得しようとする人はめちゃ「ウサギとタマゴ」……もとい「ニワトリとタマゴ」の問題に直面する。つまり「私は自分のコンテンツを自分のファンに売りたい」と「自分のファンを獲得するためには自分のコンテンツを提供しなきゃいけない」ということ。あ、あれ? 自分のコンテンツを提供して喜んでもらえるファン。自分のファンを獲得するためのコンテンツ。こ、これって、ニワトリタマゴじゃん!

だから、プラットホームがあったとしても、クリエイタは日々こまめに活動して、コンテンツを提供して、「私はこういうものを作る存在です。あなたはこういうものが好きですか。だったら、いろんな形で自分のことをフォローしてね?ね?ね?」と言い続けないといけない。

え? 結城ですか? 私は毎日それを言ってます。ツイッターや、メールマガジンや、ノートでも。絶え間なく、おもしろいコンテンツを提供する。絶え間なく、「よければ結城をフォローしてね」と言い続ける。そういうことをやっています。それは、努力とかそういうものではなく、そういうことが生来好きなんですよ。私。「ねーねー、これ、おもしろい?ねー、おもしろい?」「そっかー、これはつまんないのかー、じゃ、これは?ねー、これはおもしろいよね!だって、こんなことできるんだよっ!」……そういうのを言い続けて、ン十年。結城はそういうのを毎日やってて飽きることがない。

文章を書く、音楽を作る、ビデオを作る。その中で結城は文章を作るしかできないけれど、いつでも読者に関心がある。「こういう文章作ったら、《あの人》はきっと楽しんでくれるかな?」と常時考えている。それはスティーヴン・キングのIR(理想的な読者)かもしれない。でも、いつも、私のことに関心をもってくれる「あなた」に対して文章を書くのが基本姿勢。

もちろん、文章を書くときには、自分自身の興味や、自分自身の達成感はあります。でも、そんなものは活動全体の10%くらいかな。だって、自分自身の達成感だったら、何かを読んで理解したら終わりじゃないですか。それをわざわざ他人にわかりやすいように文章にする必要はどこにあるか。

だから、私は、結局のところ、読者が大好きなんですよ。読者と向かい合う自分も好き。「あなた」の「なるほど」の一言が聞きたい。その一言のために苦労して難しい文章を読み解き、少しでもわかりやすい例を見つけ、順序を工夫し、例を書き換え、美しく組版し、メジャーな出版社を選び……それは、すべて、すべて、たった一人の「あなた」に届ける努力である。

あなたから。ほかならぬあなたから。「なるほど!」という一言を聞きたいから。「そういうことだったんだね」という一言を聞きたいから。他のライターがどうかは知らんよ。出版社の思惑もしらないし、世界の動向もどうでもいい。

たった一人の読者。

「あなた」の「なるほど」を聞きたい。

結城が本を書いているのは、そのためだといっても過言ではない。

だから私は、私は、毎日Twitterでエゴサーチをする。

「数学ガール」や「結城浩」を検索する。

それはすべて、「あなた」の「なるほど」を聞きたいからなんだ。

たった一人のあなたに届かないなら、あなたが「なるほど」といえないなら、百万人の誰かに購入されたとしても、きっと嬉しくはない。それは量の問題じゃないんだ。

質の問題……というか、わたしとあなたの問題なのだ。

私は……結城は命をかけて言葉を紡ぎ、何とかあなたに届けたい。

私は耳をすましている。あなたの反応を聞きたくて。

私はいつも全力で言葉をあなたに届けたい。

あなたも、聞かせてほしい。あなたの言葉を。

ねえ、聞かせて。

あなたの言葉を。

 * * *

※Photo by webtreats.
https://www.flickr.com/photos/webtreatsetc/4185326903/

※以降に文章はありません。「投げ銭」での応援を歓迎します。

この続きをみるには

この続き:0文字

ノートとお金とコミュニティ(日々の日記)

結城浩

100円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

いただいたサポートは、本やコンピュータを買い、さまざまなWebサービスに触れ、結城が知見を深める費用として感謝しつつ使わせていただきます! アマゾンに書評を書いてくださるのも大きなサポートになりますので、よろしくお願いします。 https://amzn.to/2GRquOl

結城浩です。《スキ》をしてくださるのは、大きなはげみです。感謝!
38

結城浩

書籍執筆者。著書に『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など。http://bit.ly/hyuki-mm にて「結城メルマガ」をnote配信中。https://bit.ly/girlnote にてcakes連載中。2014年度日本数学会出版賞受賞。

日々の日記

ふだんの生活を気ままに書き綴った日記を集めたマガジンです。

コメント4件

なるほど(これって、「なるほど封じ」だったとか?)
なるほど
この結城浩が金や、ちやほやされるために文章を書いててると 思っていたのかァーーーーッ!! ぼくは『 読んでもらうため』に文章を書いている!
共感!
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。