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「とりあえずやれ」が苦手(仕事の心がけ)

質問

結城さんに質問です。

私は「とりあえずやれ」といわれるのが本当に苦手です。

何かちゃんとした理由があって、その理由に納得できないと、やる気がまったく起きません。

「とりあえずやれ」に対処するには、どんな考え方が有効なのでしょうか。

結城浩のメールマガジン 2018年10月9日 Vol.341 より

回答

ご質問ありがとうございます。

「とりあえずやれ」が苦手な人は多いですよ。

多くの人は、理由をきちんと説明されたり、納得したりするならスムーズに行動できます。理由なしに、しかも本人がやりたくないことを「とりあえずやれ」と言われたら、やる気が出ないのはしごくもっともなことだと思います。

さらには「とりあえずやれ」の前に「理屈はどうでもいいから、つべこべ文句いわずに」と言葉を補って聞いてしまうと、むっと来ることもあるでしょうね。

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その一方で、作業を指示する側になってみると別の視点も見えてきます。それは「言葉でいちいち説明しても納得できるとは限らないし、むしろ言葉だけでは誤解を招くこともあるだろう。でも、少しやってみると『ああ、そういうことなのか』と体感的に納得できることなんだから」という前置きがあるようなケースですね。

また、作業を指示する側の「言語による説明能力やそもそもの理解力が低いケース」というのもありそうです。指示する側も理由を知らない場合や、指示する側自身も理解・納得していない場合も含めると、実はこれが大半なのかもしれません。

「とりあえずやれ」に対してどのように行動するかは、とどのつまり「指示者とあなたとの関係」が問われているといえるでしょう。理由が説明されないけれど「やれ」と言われたことを「やる」というのは指示者を信頼することに他なりませんから。

指示者を信頼しているなら「わかりました。他ならぬあなたがそういうなら、やってみましょう」ということになるわけです。

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現在は結城自身は一人で仕事をしているので、仕事関連で「とりあえずやれ」と言われることはありません。でも、自分ではその意義を理解できない活動を「やってほしい」と家人から頼まれることはあります。それが「とりあえずやれ」に一番近い状況です。

私はそういう場合「あなたのお言葉ですから」と考えるようにしています。自分としては納得も理解もしていないけれど、他ならぬ「あなたのお言葉ですから」やってみましょうという具合です。

私も、理解や納得がなければ自分の意志では動きにくいと感じます。けれど「あなたのお言葉ですから」と唱えると、不思議に動きやすくなるものです。それは「指示者を信頼する」という新たな理由で動くことができるからでしょうね。自分の行動の理由を他者に委譲したともいえるでしょう。

ご質問ありがとうございました。

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◆お言葉ですから、やってみましょう

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