
現にはさもこそあらめ夢にさへ人目を避くと見るが侘しさ
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題知らず 小野小町 古今和歌集656 #jtanka
現実ではそういうこともあるでしょうけれど、夢の中でさえも人目を避けるあまり私に逢ってくださらないなんて、何という侘しさ。
「現(うつつ)」は「現実」の意味。「夢」と対比している。
「避く(よく)」は本によっては「守る(もる)」。「人目を避けて逢ってくれない」もしくは「逢っている間も人目を気にしてばかり」。
「さもこそあらめ」は「そのようなこともあるだろうけれど」という意味。「こそ……已然形」は係り結びで、ここでは逆接。「そのようなこと」とは「人目を避けること」。
うつつには さもこそあらめ ゆめにさへ ひとめをよくと みるがわびしさ
うつつには さもこそあらめ ゆめにさえ ひとめをよくと みるがわびしさ
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本を書いて生活しています。著書は『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など多数。詳しい活動内容は https://mm.hyuki.net/n/n5f00c9cd281c をご覧ください。2014年度の日本数学会出版賞を受賞しました。