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問題解決と名前付け(教えるときの心がけ)

先日、こんな質問をいただきました。

歴史嫌いの子供に、歴史の魅力を伝えるとしたら、どんなことを話しますか?

これに対して、結城はこんなふうに答えました。

まずは「歴史嫌いの子供」という認識をやめましょう。そしてその子供が「好きなこと」を見極めます。そうすれば答えが見えてきます。

質問をはぐらかしている回答のようですが、結城はそれほど変なことは言ってないと思います。

名前というのは不思議なものです。「歴史嫌いの子供」と名前付けをすると、そのような視点から子供を見てしまいがち。固定した視点から見ていると、新しい発想が浮かびにくくなります。

別の名前、別の表現で言い直してみるのは、問題解決のためにはいいことじゃないかな、と思うのです。

それから、もう一つ。「歴史嫌いの子供」というくくり方をしてしまうと、そういう集団に対する答えを探してしまいます。問いが一般的だと、答えも一般的にならざるを得ないからです。

でも「歴史嫌いの子供」というくくり方をやめると、ひとりひとりの相手を知ろう、個人としての相手を理解しようとするでしょう。個別的な問いを自分で立てて、その個別的な問いに答えようとするのです。

過度な一般化から逃れるのにも、名前は有効かもしれないなあ……と思い、あのような回答になったのです。

問題解決を行うときに、その中心にあるものをどう呼ぶか。名前をどう付けるか。それは大切なことなのです。

なぜなら「名前をどう付けるか」は、「問題をどう定義するか」に直結するからです。

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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年10月31日 Vol.292 より

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#結城浩 #教えるときの心がけ #個人としての相手 #名前重要



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