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命にもまさりて惜しくあるものは見はてぬ夢の覚むるなりけり

壬生忠岑(みぶのただみね) 古今和歌集609 #jtanka  

命以上に惜しいものといえば、大好きなあの人に会う夢を見ていたのに途中で目が覚めてしまうことだよなあ。

「見はてぬ夢」は「見はて+ぬ+夢」。「見はて」は「最後まで見る」という意味の動詞「見果つ」の未然形。「ぬ」は打ち消しを表す助動詞「ず」の連体形。「見はてぬ夢」は「最後まで見ることのない夢」の意味。

「見はて」は動詞の未然形。未然形なので打ち消しを表す言葉が続くはず。「ぬ」は打ち消しを表す助動詞「ず」の連体形。連体形なので体言(名詞)が続くはず。「夢」はもちろん名詞。

「なりけり」の「けり」は詠嘆を表す助動詞。いわゆる「気付きの《けり》」である。はっと気付いて「ああ、〜だなあ!」と感じること。

いのちにも まさりておしく あるものは みはてぬゆめの さむるなりけり

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