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色もなき心を人に染めしよりうつろはむとは思ほえなくに(紀貫之)

#紀貫之 (きのつらゆき) #古今和歌集 729 #jtanka #短歌 #恋

色などついていない私の心をあの人で染めたときから、私のこの気持ちが色がうつろうように変わっていくなんて思えません。

「染めし」は、「染め+し」。下二段活用の他動詞「染む」の連用形「染め」に、過去を表す助動詞「き」の連体形「し」。「染めし」は「染めた」の意味。過去を表す助動詞「き」は話し手が直接体験したことを表す。ここでは、自分が恋している相手で自分の心を染めたことを直接自分が体験したことを表す。

「染め」は「色を染める」という意味と「心を深く寄せる」という意味の両方を表している。

「うつろはむ」は、「うつろは+む」。四段活用動詞「うつろふ」の未然形「うつろは」に、推量の助動詞「む」の終止形「む」。「うつろはむ」は「心変わりする」。

いろもなき こころをひとに そめしより うつろはむとは おもほえなくに
いろもなき こころをひとに そめしより うつろわんとは おもおえなくに

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