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結城浩『百年後の詩人』あらすじ

結城浩の新刊『百年後の詩人』のあらすじを紹介します。

その時代、詩人たちは「プログラマに適切な比喩と関数名を与える」という仕事だけをこなす毎日を過ごしていた。

あるとき、ひとりのカリスマのもとで詩人たちはついに蜂起した。「言葉は力である」と自覚していた詩人たちが取った革命の方法は、やがて予想もしなかった未来を生み出していく。

詩人たちがカリスマの助けを得て取った方法とは《語義の間隙》をねらう方法だった。「一つの単語には一つの意味」という《単一語義原則》に慣れたプログラマは、詩人たちのその仕掛けに足をすくわれる形となる。プログラマがパッケージ名、モジュール名、関数名、メソッド名というそれぞれの名前空間で同じ語句を使ったときに発動する《語義の間隙》とは。

主人公のプログラマ「ロゴス」は、日々の労働に嫌気がさしていた。生活のためと飛び込んだ企業では、毎晩のように真夜中過ぎまでの労働が続く。確かにプログラマは「言葉を並べる仕事」だ。しかし、自分が思っていたのはこういうんじゃないんだ。

ロゴスの恋人「ラング」は逆だった。自分にプログラマの才能があると知りながら、絵本に関わる出版社に勤務する毎日。自分が書くならまだしも、わけのわからない絵本作家におべっかを使う毎日。しかし彼女はコンピュータに関する天賦の才能があった。その力はまさに《語義の間隙》事件によって開花する。

一ヶ月ぶりに出会い、愛を確かめるロゴスとラング。しかし、その場で二人は同じプロジェクト「コンテキスト」に関わっていることを知る。偶然だね、と笑ったのもつかの間、ロゴスのクライアントであるチョムスキーが不可解な事故に遭い、その犯人としてロゴスが指名手配になる。

ロゴスを助けようとするラングの働きは、ラングと関わりの深い絵本作家ヘボンによって阻止される。反発するラング。しかし、そこに働いていたのは、名前空間を支配する謎の組織「メタコンテキスト」の強大な力であった。

ロゴスの疑いを晴らし、メタコンテキストの野望を打ち砕く方法は「言葉の種」を見つけることと知ったラング。しかし、苦労の末に見つけた「言葉の種」は偽物であった。絶望に陥るラング。しかしその時ロゴスが残したメモに気づく。そこに本物の「言葉の種」を見出す方法が書かれていた。

苦難の末に本物の「言葉の種」を見つけたラング。これでロゴスを救い出せると思ったが、すでにロゴスはメタコンテキストの洗脳にあっていた。だれの愛も信じられないロゴス。ラングは「言葉の種」がそのままでは「種」にすぎないことを知る。芽を出し成長させなくては言葉に意味はない。

それに気づいたラングは、ロゴスがもとの心を取り戻すために「言葉の種」をすべて費やす。持っているすべてを失ったラング。しかし、その腕を支え抱きかかえたのは、洗脳が解けたロゴスだった。彼はラングの活躍によって、言葉が固定的なもの・死んだものではなく、生きているものであることを知ったのだ。

「言葉は、誰かのところで止まったときに死ぬ。しかし、次の誰かに伝わったときに新たな命を得る」ロゴスとラングが悟ったのはこのことだった。メタコンテキストは、言葉を固定することで、世界を支配しようとしていたのだ。二人は力を合わせてメタコンテキストのアジトにたどり着く。

しかし、アジトはすでにもぬけのから。メタコンテキストの幹部らは、劣勢を悟って逃亡していたのだ。「言葉は固まってるのに、逃げ足だけは早いな」と嘯くロゴス。蹴飛ばすラング。

ロゴスとラングの生きた言葉を守る小さなユニットと、死んだ言葉で世界を膠着させるメタコンテキストとの、長い戦いがいま始まったのである。

 * * *

以上が結城浩『百年後の詩人』のあらすじになります。

壮大だな、おい!

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以上のような新刊ジョークを考えていたんですが、ジョークとしてプロットを書いているうちに、私自身が読みたくなってしまいました!

さてさて、いったい、いつ書くんでしょうね!

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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2016年8月2日 Vol.227 より

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