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たぎつ瀬の早き心をなにしかも人目堤のせきとどむらむ

読人しらず 古今和歌集660 #jtanka 

たぎる川の流れのようにあなたへの思いで激しくわきたっている私の心を、どうして人目が堤防のようにせきとめて邪魔をするのだろうか。

「たぎつ瀬」は「たぎつ+瀬」。「たぎつ」はタ行四段活用の動詞「たぎつ」の連体形で「水が激しく沸き立つように流れる」という意味。「心が激しい思いを抱く」意味にも使われる。「たぎつ瀬の」は「早し」の枕詞。

「なにしかも」は「なにしか+も」。「なにしか」は理由を尋ねる疑問を表す連語で「どうして……なのか」の意味。「も」は詠嘆を表す終助詞で「……なあ」の意味。「なにしかも」は「どうしてなのかなあ」という意味。

「せきとどむらむ」は「せきとどむ+らむ」。「せきとどむ」は「せきとどむ」の終止形で「せきとめる」の意味。「らむ」は現在推量の助動詞「らむ」の終止形。

「人目堤」は「川の堤のように人目がある」こと。「人目を包む(人目を障害として気に掛ける)」とを掛けている。(659番と同じ)

たぎつせの はやきこころを なにしかも ひとめつつみの せきとどむらむ
たぎつせの はやきこころを なにしかも ひとめつつみの せきとどむらん

※Photo by webtreats.
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