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思へども人目堤の高ければ川と見ながらえこそ渡らね

読人しらず 古今和歌集659 #jtanka 

あなたのことをお慕いしてはおりますが、川の堤のように高い人目に気兼ねしてしまい、そこが川であるとわかっていても高い堤のために渡ることができないように、「そこにあなたがいらっしゃる」とわかっていてもとうてい逢いに行く決心がつかないのです。

「思へども」は「思へ+ども」。「思へ」は動詞「思ふ」の已然形。「ども」は逆接の接続助詞。「思へども」は「思うけれども」の意味。

「人目堤」は「川の堤のように人目がある」こと。「人目を包む(人目を障害として気に掛ける)」とを掛けている。

「高ければ」は「高いので」

「川(かは)」は「川」と「彼は(かは)」を掛けている。「彼は」の「彼」は「それ」の意味。ここでは「彼は」は「それは(あなたである)」という意味。

「えこそ渡らね」は「え+こそ+渡ら+ね」。「え……ず」は「……することができない」。「こそ……ね」は係り結びで「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形。「えこそ渡らね」は「決して渡ることができない」という意味。「渡る」は「川を渡る」ことと「逢う決心をする」の両方の意味がある。

おもへども ひとめつつみの たかければ かはとみながら えこそわたらね
おもえども ひとめつつみの たかければ かわとみながら えこそわたらね

※Photo by webtreats.
https://www.flickr.com/photos/webtreatsetc/5459627931/

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結城浩

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本を書いて生活しています。著書は『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など多数。詳しい活動内容は https://mm.hyuki.net/n/n5f00c9cd281c をご覧ください。2014年度の日本数学会出版賞を受賞しました。