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やればいいだけのことなのに、なかなか取りかかれない。どうすればいい?(Q&A)

※ほぼ半分を無料公開しているノートです(結城メルマガVol.142より)
こんにちは、結城浩です。

「結城メルマガ」読者さんからの質問に答えるコーナーです。

質問は、必ずしも読者さんからの文章そのままではありません。結城が編集したり、複数人の質問を一つにまとめたりする場合があります。ご了承ください。

●質問

はじめまして。

結城先生のメルマガで質問を受け付けているということなので、質問させていただきます。

自分は大学院生で数理系の研究をしています。あまり詳しく書くと身バレする可能性があるので詳しくは書きません。

論文を毎日読まなければなりません。それを踏まえて自分の研究を進めなくてはいけません。自分の研究といっても題材はすでに決まっていて、あとは論文を読み、方向性を決めて進めばいいのです。

でも、やればいいだけのことがなかなかできなくて困っています。つい、ネットで時間をつぶしたり、論文を手にとって読んでも頭に入らず、夜遅くまでがんばろうと思っても眠ってしまったりします。

どうしたらいいんでしょう??

●回答

ご質問ありがとうございます。

大学院生で、研究をしている。論文を読まなければいけないのだけれど、なかなかできないということですね。

そのお気持ち、非常によくわかります。結城も毎日仕事をしていて「やらなければいけないこと」になかなか取り組めないことがありますから。

頭では「これをやればいい」とわかっている。でも、どうしてもそれに向かうことができない。つい、他のことをしてしまう。ほんとうによくあることです。日々そういう気持ちと(ある意味では)戦っているようなものです。

結城は文章を書くのがお仕事ですから、そうはいっても何とか自分を「やるべきこと」に向かわせる必要があります。そのうちのいくつかは、純粋に「自分自身をだます」テクニックといえます。

具体的なテクニックをご紹介しますね。

●一歩手前まで行く

最初のテクニックは「一歩手前まで行く」という方法です。

具体的にいえば、

 「原稿を書かなければいけない」
   ↓
 「まずはここまで書いた原稿を読みましょう」

のようにすることです。つまり「書く」という目的をいやがる自分がいたなら、その一歩手前まで自分を連れて行くのです。一歩手前、たとえば「読む」という行為ですね。

「原稿を書かなくちゃ」というのはハードルが高いので、それを自分の無意識に見せないようにする(自分自身なのに変な話ですけれど)。そして、

 「原稿を書くんじゃないよ。
  いやだったら、書かなくてもいいよ。
  ただ、ここまで書いた原稿をちらっと読んでみようか」

というふうに自分を「だます」わけですね。「だます」という表現が気にくわなければ、「なだめる」でも「気を逸らす」でもいいですけれど。

あなたの場合は、他の人の論文を読んで既存の研究を調べるお仕事があるわけですよね。「論文を読む」のがいやだなと感じる自分がいたなら、その一歩手前まで自分を連れて行ってはどうでしょうか。

 「論文を読むんじゃないよ。
  いやだったら読まなくてもいいよ。
  ただ、ファイルをオープンして最初のページを眺めるだけ」

そんなふうに自分に言い聞かせてみるのです。何だったら、もっと手前でもいいですよ。

 「論文を読むんじゃないよ。
  いやだったらファイルも開けなくていい。
  でも、コンピュータの電源を入れてみようか」

あくまで結城の場合ですけれど、こんなふうに自分を「だまし」て、目的の一歩手前まで行くと、自然と次の一歩を踏み出すことができるようです。

ぜひ、お試しください。

※ここまででおおよそ半分です。もし「先を読みたい」と思った方はぜひご購入をお願いします。

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