寄る辺なみ身をこそ遠くへだてつれ心は君が影となりにき
読人しらず 古今和歌集619 #jtanka
あなたのところには身を寄せる場所がありませんので、私の身はあなたから遠く離れています。けれども、私の心は影となってあなたのそばに寄り添ってしまったのです。
「寄る辺なみ」は「寄る辺+な+み」。「寄る辺」は名詞で「身を寄せる場所」の意味。「な」は形容詞「なし」の語幹で「ない」という意味。「み」は形容詞の語幹につく接尾語で「……なので」という意味。「寄る辺なみ」は「身を寄せる場所がないので」の意味。
「こそ」は「こそ……已然形」の形で強調した逆接の条件となる。ここでは「へだて+つれ」の「つれ」は完了を表す助動詞「つ」の已然形。「こそ……へだてつれ」は「へだててしまったけれども」という意味。ここでの「つ」は自分の意志でそうしたという意味合いになる。
「君が影」の「が」は所有を表す格助詞で「君の影」の意味。
「なりにき」は「なり+に+き」。「なり」は断定の助動詞「なり」の連用形。「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形。「き」は過去を表す助動詞「き」の終止形。「なりにき」は「なってしまった」。ここでの「き」は自然にそうなってしまったという意味合いになる。
よるべなみ みをこそとおく へだてつれ こころはきみが かげとなりにき
※Photo by webtreats.
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