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頼めつつ逢はで年経るいつはりに懲りぬ心を人は知らなむ

#凡河内躬恒 (おおしこうちのみつね) #古今和歌集 614 #jtanka  

期待を持たせておきながら逢わないで何年も経つ、あの人のそんな偽りにも懲りない私の心を、あの人にこそ知ってもらいたいものです。

「頼む」は「相手に期待を持たせる」という意味の下二段活用他動詞。「頼め」はその連用形。

「つつ」はここでは逆接の接続助詞で「……にもかかわらず」の意味。「つつ」は反復を表すことが多いけれど、ここでは何年も逢わないでいるので逆接に解した。手紙などで何度も期待させておいて逢わないという解釈も可能だろうか。

「年経る」は「時が経つ」という意味の連語の連体形。「経(ふ)」は「経過する」という意味の下二段活用動詞で、全体が活用する。

「人」はここでは「私が恋しているあの人」のこと。

「知らなむ」は「知ら+なむ」で「知ってほしい」の意味。「知ら」は「知る」の未然形。「なむ」は未然形に付く終助詞で他者に対する願望「……してほしい」を表す。

たのめつつ あわでとしふる いつわりに こりぬこころを ひとはしらなむ


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