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執筆したものを有料にする意味(文章を書く心がけ)

質問

結城さんに質問です。

私は理系の研究者で、時々、謝礼つきの執筆依頼が届きます。小遣いが入るのは嬉しいと言えば嬉しいですが、手間暇かけて執筆するからには open access(論文や総説を無償でオンライン公開すること)にして誰でも自由に読んでもらえるようにしたいという気持ちもあります。

結城さんは、一部の読み物は無料で公開していて、一部は販売していますよね。本にすることで編集者の手が入って完成度が上がったり、あまりネットを見ない層にも届けられるといった利点がある一方で、知識を誰でも自由にアクセスできるようにするという観点からは、無償でオンライン公開する方が効果的という気もします。

収入を得ないことにはなんともならないと言ってしまえばそこまでですが、そのあたりの折合いは自分の中でどうつけていらっしゃいますか。

結城浩のメールマガジン 2020年12月22日 Vol.456 より

回答

ご質問ありがとうございます。これは非常にたくさんの観点がある話題ですし、人によって考えはずいぶん違うと思います。またこれはたいへんデリケートな話題でもあります。

ですから、あくまで以下の回答は「現時点の私が考える自分に関しての回答」であることを強調しておきます。つまり、誰かに何かを強いるとか誰かを批判する意図はありません。また私自身の考えも今後変化する可能性があります。

以下では、次の四点について順番にお話しします。

  • 定期収入の意味

  • 有料である意味

  • マネタイズの経験を積む意味

  • サスティナビリティの意味



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