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塾講師、生徒におもしろさを伝えたい(教えるときの心がけ)

質問

結城先生へ。

自分は大学二年生です。

大学生になってから、数学や歴史や化学などに改めて興味を持つようになりました。高校時代は、覚えたり理解したりするのに必死で、勉強のおもしろさに気づけていませんでしたが、自由な時間が増えた今、だんだんおもしろくなってきました。

自分は塾講師をしており、生徒に「おもしろさ」も伝えてあげたいなと思うのですが、やはり勉強に対して苦手意識がある子も多く、授業時間も限られるのでうまく伝えられません。

どうすればうまく「おもしろさ」を伝えられるのでしょうか。

結城浩のメールマガジン 2019年4月23日 Vol.369 より

回答

ご質問ありがとうございます。

《相手のことを考える》のが原則です。あなた自身、高校時代には学ぶことのおもしろさを感じる余裕はなかったわけですよね。でもいまはおもしろく感じています。その正直な感覚を生徒に伝えるのは大切になりますね。

いつもの内容」を教えているときでも、ほんの少しでいいから「一見これはつまらなそうだけど、後でこういう感じにおもしろくなるよ」というチラ見せをするというのは一つの方法です。

ただし、そういうチラ見せをアドリブで行うのは難しいです。チラっと見せる、すなわち短い時間で効果的に伝えるには、魅力的な例と端的な表現を厳選して準備しておく必要があるのです。時間が短ければ短いほど、周到な準備が必要になるでしょう。

あなた自身が「おもしろい」と深く感じるのはどこか、それはなぜどのようにおもしろいのか。それを十分に考え、意識することを心がけるといいですね。闇雲に「おもしろい!」というだけではおもしろさは伝わりませんから、自己分析が必要です。

もちろん、教えているときもあなた自身がおもしろいと感じつつ話すのは大事になります。でも、生徒を置いてけぼりにしてしまったら独りよがりになっちゃいます。そこはとても難しいところ。

ところで、おもしろさを感じてもらうためには、先生の側で十分に調理することも大事ですが、生徒が「深い理解」にたどり着くことも極めて重要だと思います。

どんな内容を伝えるにせよ、生徒自身が、

 「なるほど、そういうことか!」

と感じること、すなわち生徒に「理解・驚き・納得」を得てもらうことが、学ぶことに興味を持ち、「おもしろさ」を見つけてもらうための王道ではないかと思います。

ご質問ありがとうございました。


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