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どうすれば、自分の場所としての「コージーコーナー」を作れるのでしょう(Q&A)

※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです(結城メルマガVol.045より)

「Q&A」のコーナーです。このコーナーでは結城メルマガの読者さんからいただいた質問やお便りにお返事を書いています。

みなさんからいただいた質問は加筆修正することや、複数人の質問を一つにまとめる場合がありますのでご了承ください。

●質問

結城さんから送られてくるメール・マガジンはいつも楽しみです。Vol.43の新しい「フロー・ライティング」の「コージーコーナーから始めよう」を
胸をおどらせるようにして読みました。

あそこに書かれているのは文章を書く人の話かもしれませんが、私には自分の場所を作る話のように感じたからです。

毎日生活をしていると、自分の場所を作るのが難しいです。自分の時間を作るのも難しくて、私は消えてしまいそうになります。何のために生きているのかわからないほどです。ケータイでもPCでもたくさんのニュースが流れていますが、ふと我に返ると、どうでもいいことばかり気にしています。
便利になるはずのケータイでも自分が縛られているみたい。

どうしたらいいんでしょうか。

●回答

いつも結城メルマガのご愛読ありがとうございます。こういうふうにご感想を送っていただけるのもたいへん感謝です。文章を書く身にとっては読者さんからのフィードバックはたいへん大きなはげみになるのです。

さて、ご質問のようなご質問ではないようなメールをいただきましたが、少し気になるところでもあるので、お返事を書いてみることにします。もしかしたら質問する意図はなかったかもしれませんが、もしそうでしたら、無視してくださいね。

結城メルマガのVol.043で「コージーコーナーからはじめよう」という文章を書きました。

 ◆Vol.043 結城浩/フロー・ライティング/センター試験/ライターとエディター/初校ゲラを読む/
 http://ch.nicovideo.jp/hyuki/blomaga/ar29583

確かにあの文章は、いかにして文章を書くことに集中するか、夢中になって書く環境を作るかという話題ですが、あなたのおっしゃるように、

 自分の場所を作る話

と読むこともできるかもしれませんね。

確かに現代は「自分の場所」や「自分の時間」を持つことが難しい時代かもしれません。いつも誰かに自分の情報をさらしていて、いつもまわりの目やたくさんのニュースを気にしている時代ともいえます。

まあ、いつの時代でも程度は違えども、そういう傾向はあるでしょうが、携帯やスマートフォンなどのIT技術がその傾向を加速しているとはいえそうですね。

もちろん私はあなたの「どうしたらいいんでしょうか」に「正解」を返すことはできないのですが、つらつらと思うところを書いてみたいと思います。

フロー・ライティングの文章を書いているときも思ったのですが、「主体性」は重要な要素ですよね。どんなに小さな世界でもかまわないから、「ここは自分の世界である」といえるような場所があることは、心を平安に保つ一つの方法かもしれません。

箱庭のような小さな場所でかまわないのだけれど、

 ここは自分の世界である。
 ささやかながら自分の王国である。
 ここでは自分は何をしてもいい。
 何をしても怒られることはないし、誰かからあれこれ言われることもない。

そんな場所が存在して、そこにいる時間を持てるというのは、心の健康の上でとても重要そうです。

「あれこれ言われる」というのは、たとえそれがどんな良いアドバイスであっても嫌な場合があります。「こんなことをしたら、何か言われるかもしれない」「ちょっといつもと違うちょっとした冒険をやってみたいけれど、何かいわれるのはわずらわしい」そう思うときは誰しもあります。

そのような心配がない、「まったく自由な自分の場所」や「まったく自由な自分の時間」は大切です。

現代は、しっかり見張ってないと自分の時間がどんどん奪われていく時代だと思います。

自分の時間に対して無頓着だと、あっという間に他の人とのやりとりや雑事だけで時間が埋められてしまいます。あなたのおっしゃるとおり、

 「ふと我に返ると、どうでもいいことばかり気にしています」

というのは結城もよく思います。いつも軌道修正して、「自分がほんらい気にしたいことはなんだろう」という思いを大切にしたいなと思います。

結城が好きなのは、自分の予定表に「何もしない」という予定を入れていた人の話です。つまり、意識的に何もしない時間を確保しておく。その時間をどう使うかはもちろん自分自身で決めていいのですが、日常に流されず、しっかりと生きるためにはそんな工夫が必要なのかもしれませんね。

あなたが「自分の場所」と「自分の時間」を並べて書いておられたのが印象的です。

結城メルマガではあまり書かないようにしていますが、結城はクリスチャンで「祈り」を大切に考えています。「祈り」は「神との対話」ですが、そこでも「自分の場所」と「自分の時間」がとても重要な意味をもちますね。

結城個人の話をすると、結城はたとえば喫茶店やファミレスで原稿を書くことがよくあります(この文章も喫茶店で書いています)。この喫茶店はもちろん、自分が所有している店ではないわけですが、それでもここは「自分の場所」といえますね。少なくともこの結城メルマガを書いているあいだだけは「自分の場所」です。

そして、お仕事ではありますが、結城メルマガを書いている時間は「自分の時間」といえます。もちろんメルマガを完成させなくてはいけないんですが、結城はそこで自由です。何を書いてもいい。試しにいつもは書かないような内容を冒険的に書いてもいい(まあ配送前に読み返してあまりにも冒険的なら直しますが)。

それは自分の心の健康に大きく役立っているように思います。

あなたはケータイの話も書いておられましたね。「自分を縛る」というのがどんなニュアンスで書かれたのかわかりませんが、確かに、ケータイ(スマートフォン)を持っていて、誰かから連絡がくるかもしれないというのは落ち着かないものです。

うわ!

……っと、ごめんなさい。ちょうどこの部分を書いていたときに、冗談でも何でもなくほんとうに結城あてに電話が掛かってきたのです!

ああびっくりした。

さて。

コージーコーナーをどうやって作ったらいいのか。あなたの場合はどうかわかりませんけれど、結城の場合には「それが自分に必要である」と気づくことがとても大事でした。「自分の場所」や「自分の時間」を確保することが、私には必要であるという自覚。そのような自覚があってこそ、コージーコーナーを作りたいと思うからです。

そこから先は結城にもよくわかりません。「自分の場所」や「自分の時間」というものを本気で深く考えていくと、

 ・自分は何を目指して生きているんだろう
 ・自分は何ができれば心の底から「しあわせだ」と思えるんだろう

 ・そもそも、自分とはどういう存在なんだろう

そんな根源的な疑問へ近づいていくように思います。『フロー・ライティング』という本を書き進めるうちに、またこの課題に向かうときがくるのかも。

とりあえず、現在のところ、結城はそんなふうに考えています。これで、あなたへのお答えになっているのでしょうか。

それでは、また!

 * * *

※Photo by webtreats.
https://www.flickr.com/photos/webtreatsetc/5972016444/

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結城浩

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結城浩

書籍執筆者。著書に『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など。http://bit.ly/hyuki-mm にて「結城メルマガ」をnote配信中。https://bit.ly/girlnote にてcakes連載中。2014年度日本数学会出版賞受賞。

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