問題を解くことと説明すること/作業ログの活用例/一人で過ごす/紙を広げて推敲/
結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2022年1月11日 Vol.511
目次
問題を解くことと説明することの違い - 学ぶときの心がけ
「結城浩の作業ログ」活用例と公開のメリット
一人で過ごすのは悪いことなのか - コミュニケーションのヒント
たくさんの紙を床の上に広げて推敲する話 - 本を書く心がけ
はじめに
結城浩です。
新年になったと思ったらもうすぐ1月も半ばになりますね!
最近の結城はずっと、来月刊行予定の『数学ガールの秘密ノート/図形の証明』を進めています。
現在は「初校ゲラ」を読み返しているところ。今週中には、数百箇所を修正したPDFを編集部に戻します。そのあと「再校ゲラ」が届いて、それを戻せば結城の手から原稿は離れることになります。
今回の『図形の証明』もすごくおもしろく、いい本になりますよ。何度も読み返していますが、読み返すたびにしみじみと「ああ、これはいい本だ……」と思います。
今回の『図形の証明』はもちろん証明が話の中心にありますが、『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』で登場した新キャラの「ノナちゃん」が再登場し、図形の証明に挑戦するところが何ともおもしろいです。書きながら、そして読みながら、私自身がいろんなことを学んでいます。
数学を学んでいる中学生や高校生はもちろんのこと、保護者の方々、そして教える立場にある人にも読んでいただきたい一冊になります。
『学ぶための対話』は「理解すること」について学ぶノナちゃんの物語ですが、同時に「教えること」について学ぶ「僕」の物語ともいえそうです。数学的な内容はやさしいですけれど、読み込むとなかなか深い題材を扱っているのがわかります。
◆『数学ガールの秘密ノート/学ぶための対話』(好評発売中)
『図形の証明』では「読むこと」や「書くこと」や「伝えること」を学ぶ物語にもなっています。どうぞご期待くださいね。
◆『数学ガールの秘密ノート/図形の証明』(現在予約受付中)
それでは今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
問題を解くことと説明することの違い - 学ぶときの心がけ
質問
結城先生に質問です。
算数や数学の問題で、何度か「自分は解けるが、説明できないし教えることもできない」経験をしました。これは、自分がちゃんと理解していないということでしょうか。
大学受験でも、先生が用意した問題を、先生が教えた解き方で解くという教育が多いのですが、解けることと理解していることの境目に落ちてしまうような気がしています。
結城先生は、解ける問題をすべて説明できるでしょうか。
回答
これはすばらしい質問です。まず「問題を解く」ことと「説明する」ことは大きく違う行為ですので、問題が解けても説明できないという場合は多々あると思います。
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