不安なニュースで気分が落ち込むとき、どうしたらいい?
質問
結城さんにお聞きしたいことがあります。
感染症の再拡大、日本の経済停滞や国際競争力の低下、大きな自然災害、悲惨な国際紛争など、自分だけではどうしようもない不安なニュースがたいへん多くて気分が落ち込んでしまいます。
このような場合はどうするのが良いでしょうか。
回答
ご質問ありがとうございます。
不安なニュースを聞くと、たとえそれが自分だけではどうしようもないとわかっていても気分が落ち込みがちですよね。よくわかります。多くの人がそうだと思います。
そういうときには、ニュースから少し離れることが大事です。
確かにニュースは大切なものです。社会の動きを知ったり、災害に備える気持ちを持ったり、自分が取るべきアクションを考える上で大きな助けとなります。でも、それも程度問題です。ニュースのために自分の健康を害してしまっては、大切な活動が行えなくなります。
「自分だけではどうしようもないこと」でむやみに不安になるのであれば、ニュースやネットから遠ざかったり、情報を減らしたりすることをおすすめします。
自分の力ではどうしてもニュースから離れられないとしたら、それこそ、ニュースから離れる必要がある理由となります。
ニュースを提供する側からすると、当然ながら提供しているニュースが重大なものであるというパッケージにして送り出します。ですから、ニュースをずっと聞いていると、それだけが重大なものであるかのような錯覚に陥ってしまいます。
でも私たちにはニュースで報じられること以外にも日々の活動があり、自分が解決しなければならない個人的な問題があり、守らなければならないものがあります。それらのために時間や体力や心や気持ちの余裕が必要です。
人によっては「自分が不快だからといって、大事なニュースから目をそむけてはいけない」という意識で、苦しみつつニュースから離れない人もいます。その気持ちも非常によく理解できますが、自分の心のキャパをよく考えましょう。
ニュースを完全に絶つ必要はありません。ニュースから少しだけでも離れましょう。意識して見ないようにする工夫をしましょう。時間を減らしたり、回数を減らしたり、ニュースの不必要なまでの詳細情報を求めて深掘りするのをやめましょう。
* * *
たとえば私の場合には、Twitterで「期限付きのキーワードミュート」機能を活用しています。しょっちゅう見かけるキーワードで「もうこれはいいです」というときにはそのキーワードを含んだツイートを期限付きで見えなくするのです。
また、ことさらに扇情的なニュースを選んでリツイートする人はアンフォローしたり、ミュートしたり、リストに入れておいたりします。自分が日常的に目に触れるところから減らすためです。
さらに私はCSSの機能を使って、コンピュータでTwitterを開くときには「トレンド」の項目を非表示にしています。
このようにせよという意味ではなく、自分なりの工夫をして、自分にとって不要なニュースを減らすという意味です。
ニュースを見たあとで「この情報は私にとって意味があったんだろうか」と振り返ることは大事です。
ちなみに私はときどき自分がかつてミュートしていた「キーワード」を見ます。その多くが自分の現在にはほとんど影響がないものばかりです。
* * *
自分の時間を何に使うか。それは非常に重要なことです。ニュースは確かに大切ですが、それで自分の心の健康を害しては意味がありません。十分に注意してくださいね。
ご質問ありがとうございました。
関連する情報をリンクします。
◆ミュートの詳細設定オプションを使用する方法(Twitter公式のヘルプ)
◆TwitterのWeb UIで右に表示される「トレンド」欄をCSSを使って消す - 結城浩の連ツイ
◆朝食時、ニュース番組を観たくないのだけれど……
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