数学できたらカッコいいなと思うけど(学ぶときの心がけ)
質問
数学できたらカッコいいなとは思うのですが、いざ勉強しようと思うと萎えてしまいます。
最初からうまくは行かないとはわかっているのですが、それでも、あまりにも手が止まることが多すぎるからです。
いったいどうすればいいんでしょうか。
回答
すごく実感のこもった質問をありがとうございます。
そうですよね……すらすら行かないと気持ちが萎えるのは確かにありますね。
自分にとって「ちょうどいい難易度の問題」に向かうことは大事です。易しすぎてはつまらないし、難しすぎてもつまらないものですから。
そこで「知的正直」という態度をしっかり持ちましょう。つまり《わかったふりをしない》という態度のことです。
「数学ガール」シリーズのあちこちに出てくるはずですが、特にテトラちゃんがよく言う「私はまだわかっていない」という態度。それをしっかり保つことが、この世界ではカッコいいと私は思っています。
「カッコいい」にこだわりすぎるのはよくありませんが、数学で一番カッコいいのは、ホントにホントの意味でわかること。一番カッコわるいのは、わかってないのにわかったふりをすること。
「どうも自分はわかってないぞ」というときには、少し易しい問題を解いてみたり、例を作ったり、泥臭い作業をしてみましょう。その泥臭い勉強もまた、カッコいいと思います。
数学のえらい先生も、みなさんめちゃめちゃ泥臭いことを繰り返しています。自分がわかっていないなと思ったら、どこまでも引き返す覚悟でいます。手が止まるなんて日常茶飯事です。今日もきっと理解できないなと思いつつも式を追う。そんな日々でしょう。
そのような泥臭さに耐えられるのは、きっと「なるほど!」の価値を知っているから。「そういうことなんだ!」の喜びを知っているからです。
その価値は、その喜びは、誰にも奪われない報酬です。泥臭い試みを厭わずに考えた人への報酬です。その価値と喜びを知っているからこそ、みんな真摯に学ぶのです。
手が止まるのは当たり前。わからなくなるのも日常茶飯事。そこで大事なのは「自分は本当に理解しているか。わかったふりをしていないか」と問い続けることです。
私もがんばります。あなたもがんばってください!
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