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誰も話を聞いてくれない(コミュニケーションのヒント)

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年7月21日 Vol.173 より

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質問

匿名ですみません。こういう質問でもいいですか。

いつも無力を感じます。大学で発表するとき、誰も話を聞いてくれません。誰も関心を持ってくれません。一生懸命説明してるけれど、誰も聞いてくれません。聞いてる人がいても自分のことをバカにしてると思います。

どうしたらいいでしょうか。

回答

ご質問ありがとうございます。どんな形でも、質問していただけるのはありがたいです。ただ、結城がうまく回答できるかどうかはわかりませんが……

質問というかお悩みのような感じでしょうか。自分がいくら発表しても、誰も聞いてくれないということですね。

結城が何か意味のあるお返事をできるかどうかわかりませんが、思うところを書きたいと思います。

まず、「どうしたらいいでしょうか」という質問に直接的に答えるなら、「結城にもよくわかりません」というのが正直なところです。

お話をうかがい、その状況を想像してみると、可能性はいくつかあるように感じます。「何が起こっているのか」という可能性のことです。

大学であなたが発表しているとき「実は、他の人はあなたのことに耳をすましている」という可能性があります。他の人はあなたの説明をそれなりに聞いていて、関心もそれなりに持っている。でも、あなたが考えるほどじゃない。あなたが期待するほどじゃない。お話をうかがって結城が最初に想像したのは、そのような状況でした。つまり、客観的にはあなたの観察はいささか的外れである状況。

次に結城が想像した状況は「あなたの観察が正しい」という可能性です。あなたの観察は正しく、他の人はあなたのことに関心がなく、あなたの説明に耳を貸さず、あなたのことをバカにしている。そういう状況です。あなたが語っている通りの状況が起きている。そのような状況も確かにありそうです。

そして、もしかすると「両方の状況が場合によって変化している」という可能性もありそうです。あるときは、みんなはあなたの説明をよく聞いている。おもしろい説明、興味がある説明のときです。でも、それほどあなたの説明に関心を持たないときもある。このような可能性はいかにもありそうです。誰しも、自分に関心のあることは熱心に聞き、興味を持てないことには熱心になれないからです。あなた自身もそうですよね。

直接的な解決方法(身も蓋もない解決方法)としては「みんなが関心のある話をする」というのが一番いいでしょうか。でもそんなのは、ほんとに身も蓋もありません。

ところで、ここまでのような雑な状況分析とは別に、私はあなたのことを考えています。あなたのこと……「あなた自身が何を感じているか」について想像を巡らせています。

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