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結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2017年9月19日 Vol.286

はじめに

おはようございます。結城浩です。

いつも結城メルマガをご愛読ありがとうございます。

 * * *

『数学ガール6』の話。

『数学ガール6』をせっせと書いています。 しかし、なかなか完成には至りません。 この夏は第4章をがんばって書いており、 ようやくレビューアさんに送るところまでこぎ着けました。

でも、この章だけで2ヶ月もかかってしまいました…。 今年中にはなんとか残りを仕上げたいのですが、 さてどうやって進めて行きましょうかね。

いまのところは、 めげずに淡々と進めていくしかないと思っています。

あわてずあせらず着実に。

 * * *

プレーンテキストの話。

先週の結城メルマガで、

 「できるだけプレーンテキストで管理できるものを選ぶ」

というお話をしました。

結城がプレーンテキストが好きな理由の一つは、保存性のよさです。 ワープロのファイルなら対応アプリがなくなる危険性がありますが、 プレーンテキストなら読めなくなることはまずありません。

それから、自分でちょこちょこと加工・変換できる良さもありますね。

20年ほど前に結城は「夢空間への招待状」という文章を書きました。 これはOh!PCという雑誌向けに書いた連載記事です。 その原稿は文字コードがShift_JISで改行がCR LFのプレーンテキストでした。

しばらくして、 それをWebで公開するためにHTMLに変換するツールを作りました。 でも、元になるファイルはプレーンテキストのままです。

やがてWebがスタイルシートが使えるように進化しましたので、 私のHTMLファイルもCSS対応にしました。 でもそれは変換ツールで対応したので、 元になるファイルはプレーンテキストのまま。

そのうちに文字コードはUnicodeが主流になってきたので、 元になるファイルの文字コードをUnicode(エンコーディングはUTF-8) に直しました。文字コードは変わりましたが、 プレーンテキストであることには変わりありません。

スマートフォンやタブレットの時代になってきて、 いろんな大きさの画面に対応できるようにBootstrapを使い、 レスポンシブデザインに対応しました。 でもこれも、変換ツールで対応したので、 元になるファイルはプレーンテキストのまま。

そんなふうに変遷を繰り返してきましたが、 おおもとのファイルはプレーンテキストのまま。 文字コードを変えた程度で二十年以上を生き延びてきました。

 ◆夢空間への招待状
 http://www.hyuki.com/dream/

結城はこのような形で進んできたことを、 とても気持ちのいいことだと思っています。 プレーンテキスト、お気に入りです。

後ほど、 そのプレーンテキストでメモを取る話題をお話しします。

 * * *

画面表示とセキュリティの話。

先日、iPhoneでTwitterを使っていたら、 突然iPhoneの画面全体に、

 あなたの電話番号を確認してください

というメッセージと共に私の電話番号が出て、 とてもびっくりしました。

また別のとき、同じようにiPhoneの画面全体に、

 メールアドレスを確認してください

というメッセージと共にメールアドレスが表示されました。 こんな感じです。

 ◆iPhoneに表示されたメッセージ(スクリーンショット)


たとえば、Phoneでツイッターやっている様子が、 店内のビデオで録画されていたとします。 電話番号やメールアドレスがデカデカと画面に表示されたら、 意図せずして自分の情報が他者に渡る危険性がありますね。

せめて「電話番号を表示する」「メールアドレスを表示する」 のようなワンクッションが欲しいところです。

 * * *

FacebookとCSSの話。

最近Facebookで、 不愉快な「おすすめグループ」が表示されるようになってしまいました。 消す設定をずいぶん探したのですが見つかりません。 「広告」とは違い「おすすめグループ」は設定では消せないのかもしれませんね。

しかたがないので、 3行のスタイルシートを一つ書いて強制的に消してしまうことにしました。 以下のように、たいへん快適になりました。

 ◆スタイルシートで右のカラムをすべて非表示に(スクリーンショット)


MacBook Safariに限っていますが、 詳しい方法を以下に書きました。

 ◆Facebookで、見たくない「おすすめ」を消す方法(CSSを使う)
 https://snap.textfile.org/20170912111801/

 * * *

絵本の話。

先日、絵本作家の「わかやまけん」さんの話題を耳にしました。 しばらく闘病生活を送っていて、二年前にお亡くなりになっていたけれど、 ご本人の遺志でそのことは伏せられていたとのこと。

「わかやまけん」という名前を聞くと、 懐かしさでいっぱいになります。 結城は自分の子供に「こぐまちゃんシリーズ」 をよく読み聞かせしていたからです。

 ◆わかやまけん『しろくまちゃんのほっとけーき』
 https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4772100318/hyuki-22/

『しろくまちゃんのほっとけーき』では、 ホットケーキを作る手順がプログラムみたいだと思った記憶があります。 と書いていたら、松崎俊明さん( @consensive )から、 作り方の書いてある試し読みのページがあることを教えていただきました。

 https://twitter.com/consensive/status/902014343146909696

私の記憶は正しかったようです。 ぽたあん→どろどろ→…→やけたかな→… という一連のプロセスが楽しく描かれていました。

プログラムというよりも、プログラムを実行したときの、 ウォークスルーならびにオブジェクトの状態遷移という趣ですね。

ところで結城は、子供に本を読み聞かせするときにはいつも、 本のタイトルと作者名を読むようにしています。 子供といっしょに表紙を見て、 「しろくまちゃんのほっとけーき わかやまけん」 と読み上げてから一ページ目に進むのです。

どうしてそんな習慣になったのか、 私自身にもよくわかりませんが、何となく、 「そのように読むべきではないか」 という直観がありました。

別に『しろくまちゃんのほっとけーき』に限りません。

 『ぐりとぐら』
 なかがわりえこ と おおむらゆりこ

も、

 『もりのなか』
 マリー・ホール・エッツ ぶん/え
 まさき るりこ やく

も同じです。

毎回、表紙に書かれている通りに、 タイトルと作者名を読み上げます。 「えほんの世界」は、 そこから始まるように感じます。

たとえ作者さんが亡くなったとしても、 表紙に書かれたお名前がなくなりはしません。

その本を生み出し、 多くの人に喜びを与えているという事実は、 ずっと残るのです。

 * * *

それではそろそろ、 今回の結城メルマガを始めましょう。

どうぞ、ごゆっくりお読みください!

目次

はじめに
自分専用のEvernoteクライアントを作ったときのこと - 仕事の心がけ
価値観と《自分への適用》
メジェド
おわりに

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