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紅の初花染めの色深く思ひし心われ忘れめや

#読人しらず #古今和歌集 723 #jtanka #短歌 #恋

初咲きの紅花で染めた色が深いようにあなたのことを深く思っていたこの心を私が忘れることがあるでしょうか。いいえ、忘れることはありません。

「紅(くれなゐ)」は紅花(べにばな)の異称。

「初花染め」は、その年初めて咲いた紅花で染めること(染めたもの)。

色が深いことと、思いが深いことを掛けています。

「忘れめや」は「忘れ+め+や」。「忘れ」は下二段活用動詞「忘る」の未然形。「め」は推量の助動詞「む」の已然形。「や」は反語を表す係助詞。「忘れめや」で「忘れるだろうか、いや忘れない」という意味。

「忘る」には二つの種類があります。意識的に忘れる「忘る」は、ラ行四段活用〔ら・り・る・る・れ・れ〕。つい忘れてしまう「忘る」は、ラ行下二段活用〔れ・れ・る・るる・るれ・れよ〕。この歌の場合は、「忘れ」の後に未然形に接続する推量の助動詞「む」が接続しているので、下二段活用の「忘る」であることがわかります。

くれなゐの はつはなぞめの いろふかく おもひしこころ われわすれめや
くれないの はつはなぞめの いろふかく おもいしこころ われわすれめや

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