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文章が思いつかない(文章を書く心がけ)

結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2012年9月18日 Vol.025 より

質問

結城先生「結城メルマガ」をいつも楽しく読んでいます。そもそもの話ですみませんが文章の書き方を教えてほしいです。

言葉づかいをどうするという話ではなくてもっとざっくりと文章の思い付き方を教えてほしいです。さあ文章を書こうと思っても頭の中は空っぽで文章がまったく思い浮かびません。自分には文章力がまったくないのだとがっかりしてしまいます。

どうしたらいいのでしょうか。

回答

こんにちは。結城メルマガのご愛読、いつもありがとうございます。今回はご質問も感謝です。

 文章の思い付き方を教えてほしいです。

これは、直球勝負のご質問ですね! なかなか難問かもしれませんが、結城も直球でお答えします。

まず、すぐにわかるのは、あなたはこのような質問メールを書いているのですから、文章力が「まったくない」と思う必要はありません。文章を書く力はちゃんとあります。大丈夫です。

でも、あなたが書いてくださった、さあ文章を書こうと思っても頭の中は空っぽで文章がまったく思い浮かびません。

というお気持ちもよくわかります。私もときどきそのような気持ちになることがあるからです。私の場合には、何も考えていないのに文章に無理矢理まとめようとするときに、そのような現象が起きます。

何かしら考えたり、思ったり、調べたりして、頭や心の中に何かが「たまっている」状態になっていないのに、単にコトバだけを並べようとするのはとっても苦しいものです。少し書いてもすごく「うそっぽく」なりますし。

かといって、いまから書こうとする文章に対して、完全な準備ができていなければだめ! と言いたいのではないですよ。そのような完全な準備というものは不可能だからです。文章を書き始める最初の数歩(最初の一歩でもいいです)を進めるだけの「何か」は頭や心の中に必要だといいたいのです。

もうちょっと具体的に書きましょうか。

あなたは「さあ文章を書こう」とおっしゃっていましたが、胸に手をあてて、もう少し高いレベルから自分を見てみましょう。

そもそも「文章を書きたい」のでしょうか。それとも「誰かに何かを伝えたい」のでしょうか。

いかがですか。

文章を書くというのは手段ですから、大きな目的があるはずです。まずはそれを思い返してみましょう。

 ・友達におもしろいニュースがあることを自慢したい。
 ・生徒に二次方程式の解き方を教えたい。
 ・村上春樹の文庫本を帰りに買ってきてほしいと夫に伝えたい。
 ・いまやっている仕事の注意点を来週の自分に引き継ぎたい。

文章を書くのは手段です。ですから、その文章を書く目的があるはずです。

(上に書いたのは主に「伝える」ことに主眼を置いた目的について書きました。もちろん「単純にコトバ遊びを楽しみたい」という目的もあり得ます)

あなたが文章を書きたいと思ったとき、目的を思い返し、そもそも、何のことを伝えたいんだっけ?のように自分に問いかけてみましょう。ほんとうに「そもそも……」と自分に問うのですよ。

人間というのは不思議なもので、問いかけられるとそれに答えたくなるものです。

鏡に向かって「あなたは何のことを伝えたいの?」と問いましょう。そしてそれに真摯に答えるのです。

そして、答えが出てきたら……

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