「好き」ってどういう感覚ですか(日々の日記)
質問
結城先生にとって「好き」ってどういう感覚ですか。
結城浩のメールマガジン 2018年8月14日 Vol.333 より
回答
すばらしい質問をありがとうございます。
私にとって「好き」という感覚は「長い時間を費やしたい」という感覚にとても近いです。
あることが「好き」ならば、そのことについて長い時間を費やしたいと思う。
ある人が「好き」ならば、その人と長い時間を一緒に過ごしたいと思う。
「好き」という感覚が「長い時間を費やしたい」という感覚に近いというのは、そういう意味です。
あなたの質問を読んで、奥華子さんの「ガーネット」という曲を思い出しました。結城はこの曲を聴くたびに涙がこぼれそうになるのですが、この中に、こんな一節があります。
好きという気持ちが分からなくて
二度とは戻らないこの時間が
その意味をあたしに教えてくれた
この曲は2006年の映画「時をかける少女」の主題歌です。「時をかける少女」はタイムリープの物語で、まさに「時間」が物語の重要な要素になっていました。
私たちは、この世で何かを体験するためには必ず「時間」が必要になります。あの物語の中で主人公は些細なことをするためにタイムリープを何度も繰り返します。私は、いつもそこで胸が苦しくなります。
自分は、限られている「時間」を何に使うのか。
自分は、与えられている「時間」を何に費やすのか。
たっぷりあると思っている「時間」は、ほんとうにたっぷりあるのだろうか。
そんな思いが心の中に浮かんで、胸が苦しくなるのです。
結城が『数学ガール』を執筆しているとき、奥華子さんの「ガーネット」をよく聞いていました。なので、2007年に「書籍無料プレゼント企画」をしたときにそのCDも付けたんですよね。もういまから11年前のことです。
あれから11年という「時間」が過ぎたんですね。私はきちんと「好き」なことに「時間」を注いできたかなあ……
ご質問ありがとうございました。
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