質問

結城先生、恋人と出会う場所やきっかけについてお聞きしたいことがあります。

最近、身の回りでマッチングアプリを使って出会った方と交際・結婚する人が増えてきたように思います。

でもその一方で、マッチングアプリを使うなどして「出会うことそのもの」を目的とした活動を通じた恋人探しはしたくないという人もいます。マッチングアプリを使ったりせず、趣味や職場など共通のコミュニティで自然に出会いたいということです。

結城先生のところにはいろんな方から恋愛関係の質問も多く寄せられており、私もその回答をとても興味深く読んでおります。

恋人との出会い方やきっかけについて、結城先生はどのような意見をお持ちでしょうか。ぜひお聞きしたく思います。よろしくお願いします。

回答

ご質問ありがとうございます。

ただ、これは非常に微妙な話題ですし、回答するのがとても難しいですね。なぜかというとあまり一般化ができず、個別性が高い話題だからです。

どんな人も幸せな関係に至る出会いを求めるわけですけれど、きっかけはあくまできっかけに過ぎません。不思議に見える、あるいは一般的には不幸なことがらがきっかけで出会ったとしても、そこから奇跡的に幸せな関係に発展することはあるでしょう。あるいは逆に幸せな出会いから始まった関係がそうではない方向に進むこともあるでしょう。

出会いの場そのものや、出会いのきっかけがその後の関係を決定づけるわけではなく、自分とその相手とのやりとりや経験が積み重なってさまざまなことが進んでいきます。ですから、こういう出会いだから良い。こういう出会いだから悪いとは断言できません。特に他者の出会いに関して「そういう出会い方はよくない」などと断じることはできないでしょう。

またさらに、個人が直接的に知り合える人数というのはたかが知れています。つまり自分の経験をもとにして語ることには限界があります。なので「これこれこういう理由によって、この出会いはいいよ」のようなアドバイスや考え方は鵜呑みにできないでしょうね。

一言で言えば、出会いを一般的に論じることは難しいのです。

多くの場合、人との出会い（特に恋人や結婚相手との出会い）は人生を大きく変えますが、どういう方向に変わるのかはいちがいにいえません。

しかしながら、だからと言って出会いに無神経や無頓着でいいわけではありません。まったくそんなことはありません。恋人が見つかるかもしれない「出会いの場」があったとして、そこにどのような傾向の人が集まるか。それは、十分に考え、確かめ、さらに想像する必要があります。自分の勝手な思い込みや、宣伝文句だけで判断しないように注意がいるでしょうね。

あくまでたとえ話になりますが、居酒屋の店内には人がたくさんいますが、その中にいる人は酔っている人が多いでしょう。図書館の中にも人がたくさんいますが、その中にいる人は本を読んでることが多いでしょう。それぞれが、そういう場だからです。出会いの場も同じです。

どのような場であれ、その場に来る人は何かを考えたり、何かの目的があってやってくるわけですから、単純にランダムな人と出会うわけではありません。どのような人が多く集まるのかをよく考えないと、どのような人と出会えそうかの予想を大きく外すことになるでしょう。

さらには、その場所にやってくる人の目的をよく知っている「ある人」が、出会いとは別の目的でやってくることもよくあります。その「ある人」は人を騙す目的で来ている可能性もありますね。そうすると、幸せな出会いを期待して集まったのに、その期待につけ込む「ある人」にとっては「鴨ネギ」になる危険性もあります。

会社やコミュニティでの「自然な出会い」を求めるのは、身元がある程度わかっているという意味で危険性は減るでしょう。しかしその分だけ出会いのきっかけは少なくなりますし、そこでわかる「身元」をどこまで当てにできるかは不明です。

私が思うのはそのくらいです。出会いは大事です。しかし「こうすれば大丈夫」という万能薬はないと思います。人間関係は深い神秘に満ちているのです。

ご質問ありがとうございました。

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