リアルタイムな対話では、きちんと時間を確保する(コミュニケーションのヒント)
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こんにちは、結城浩です。
「コミュニケーションのヒント」のコーナーです。
直接会って対話するときには「きちんと時間を確保する」のがとても大切です。
直接会わない場合でも、メッセンジャーやチャットなどの「リアルタイムな対話」をする場合にはいつもあてはまることです。
たとえば、上司が部下の話を直接聞くときの(望ましい)態度はこうです。
私はあなたのためにきちんと時間をとっています。
予定はあることはあるんだけれど、
いまの時間はあなたのためにきちんと確保してあります。
必要ならばもっと延長しましょう。
だから、あなたは安心してあなたの好きな順番で話してよいですよ。
このようなセリフを口に出したら、わざとらしい。でも、このようなセリフを心に浮かべて相手に臨むのはとても大切なことじゃないでしょうか。
上に書いたセリフの逆を考えればよく分かります。
私はあなたのために時間を割くつもりはない。
いまこうやってあなたの話を聞くのはたまたま時間が空いていたから。
できたら早く切り上げて、自分の仕事に戻りたいんだよね。
だから、要点だけ話して、早くこの場を去ってほしい。
このようなセリフを口に出していう人はいないでしょう。でも、こんなことを心に浮かべている相手と話すのは…いやなものでしょう。このようなセリフを心に浮かべる人は多いかな? どうかしら。
いくら「あなたのために時間をとっています」といっても、予定は予定にすぎません。仕事の都合上、話を早めに切り上げなければならないこともあるかもしれませんね。でも、その場合でも、切り上げる直前までは、相手の話に100%集中する。自分の全チャンネルを開いて、相手を受容(accept)しようと試みる。それは望ましい態度ではないかと思うのです。
ロジカルな内容ならメールで済む。事実の伝達だけならメールで済む。なのにリアルタイムにコミュニケーションを取る(取りたい)のは、「言葉にならない何か」が心の中にあるからではないでしょうか。未完成な何か。まとまっていない何か。簡単にラベル付けできない何か。そのようなものが心にあるとき、リアルタイムな「対話」が必要になる。
「そうそう、自分が言いたいのはそういうことだった」
「そう。自分がこういう気持ちでいることを知ってもらいたかった」
とすれば、リアルタイムなコミュニケーションに対しては、そのつもりで臨むことが必要。
メールで済むならメールで済ませばよい。
リアルタイムな対話は、メールでは済まない何かのためにある。
リアルタイムな対話では、きちんと時間を確保しよう。
私は、そんなふうに思っています。
(Photo by webtreats. https://www.flickr.com/photos/webtreatsetc/4293531423/)
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