仕事と楽しみの「けじめ」をどうつけるか(Q&A)
※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです(結城メルマガVol.137より)
こんにちは、結城浩です。
「結城メルマガ」読者さんからの質問に答えるコーナーです。
質問は、必ずしも読者さんからの文章そのままではありません。結城が編集したり、複数人の質問を一つにまとめたりする場合があります。ご了承ください。
●質問
いつも楽しみに読んでいます。質問させていただきます。
結城先生は、楽しみのためにスマホやパソコンを使う時間と、仕事や読書の時間との"けじめ"をどうやってつけていますか?
僕自身は、ついデジタル機器をいじってしまうことがあり、直したいと思っています。
お答え頂ければ幸いです。
●回答
ご質問ありがとうございます。
時間の"けじめ"の話ですね。とても痛いところを突かれました。
短い答えは「けじめはつけていません」です。
結城の場合、何が仕事で何が楽しみか、自分でもよくわかっていないからです。
といっても、この「短い答え」は嘘ではないのですが、不正確ですね。うまく答えになるかどうかわかりませんが、少し書いてみましょう。
* * *
まず、結城にとって一番大事な書籍執筆の時間。これはお仕事です。これには一日のもっともいい時間を割り当てています。多くの場合は午前中9:00〜11:00くらいですね。この時間で難しいことを考えたり、文章を書いたりします。
頭が鈍っているときでもできる作業や、単なるお楽しみの作業がこの時間に食い込まないようにすることは大事です。Webを巡回したり、TwitterなどのSNSで遊んだりしないようにすること。
そのために結城がよくやるのは、
「Twitterで宣言してしまう」
という方法です。つまり「他人の目」を意識して仕事をするということ。
具体的には、いまから仕事をしなくちゃなというときに、
「さあお仕事を始めましょう。Twitterから離脱します」
などとツイートするのです。このように宣言しちゃうと、その後でツイートしにくくなりますよね。だって、
「あれ? 結城さん、
さっき『離脱』とか言ってなかった?
さぼりですか」
と思われそうですから。
まあ、誰もそんなこと思わないかもしれないけど、かっこ悪いですよね。なので「Twitterで宣言する」というのは「けじめ」をつけるのに有効な方法だ、と私は思っています。
* * *
ところで、意外に危険なのは「遊んでいる時間」ではなく「仕事をしている時間」のことも多いものです。つまり、遊んでいる時間というのは、自分でも自覚しているわけですよね。
「あ、あれやんなきゃ……でも、もうちょっと」
みたいに。さぼっていることに後ろめたさを感じているのです。
でも、仕事している時間というのは後ろめたさを感じません。なので、逆に、無駄な作業をしていてもその自覚がない場合がありそう。
工夫すれば作業効率が上がるものでも、手を動かして仕事している気分になり、それで満足してしまう危険性です。
これはとても危険。なぜなら自覚症状がないから。自分としてはたくさん時間を使って仕事しているのに、でも生産性は上がっていない。これには注意が必要です。
とはいえ、このあたりは「いちがいにいえない」んですよね。たとえば、無駄といえば無駄な作業なんだけど、手を動かしているうちに頭があたたまってきて、エンジンが掛かった状態になり、続く作業の効率が上がる……なんてことは、日常茶飯事ですから。
知的労働は微妙なものです。なので、画一的な方法でいつもうまくいくとは限らない。自分の現状にあった方法で調整していくしかないのでしょう。
* * *
結城が心がけていることの一つに、
「実測値を知る」
というものがあります。
たとえば、文章をがりがり書いているとしますよね。そしてしばらくすると疲れてくる。休もうかな、と思う。そのときに、
「書き始めてからどれだけ時間が経ったかな」
を調べるのです。結城は経験上、調子が出ないときは三十分、普通は六十分、調子が良いと九十分から二時間連続して書きます。ざっくりいって。このような「実測値」を自分で持っていると判断に有益です。
「休もうかな」と思って時計を見たら六十分書いていた。「おお、けっこう続けて書いたじゃないか」といって休めばいい。
「休もうかな」と思って時計を見たらまだ十五分しか書いていない。「もうちょっとがんばろうぜ」といって書き続けてみる。
これが、自分の「実測値」があれば判断に有効という意味です。
* * *
以上です。まとめてみますと、
・それほどきっちり「けじめ」はつけていない。
・仕事開始時にTwitterで「仕事開始」宣言をする。
・仕事しているけれど非効率な時間に注意する。
・自分が続けて仕事できる「実測値」を知る。
という感じでしょうか。
参考になればいいのですが。
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