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花筐(はながたみ)めならぶ人のあまたあれば忘られぬらむ数ならぬ身は(読人しらず)

#読人しらず #古今和歌集 754 #jtanka #短歌 #恋

あなたには、花籠の編み目がぎっしり並ぶようにたくさんの見比べる人がいますから、きっと忘れられてしまうでしょうね、取るに足りない私などは。

花筐はながたみ」は「花籠はなかご」。編み目が細かく並んでいることから「めならぶ」の枕詞になっている。

「めならぶ」はバ行四段動詞「目並ぶ」の連体形。「見比べる」の意味。

「あまたあれば」は「あまた+あれ+ば」。「あまた」は副詞「数多(あまた)」で「たくさん・数多く」の意味。「あれ」はラ行変格活用「在り(あり)」〔ら・り・り・る・れ・れ〕の已然形「あれ」。「ば」は已然形に接続しているので確定条件を表す接続助詞。 「あまたあれば」で「たくさんいるので」の意味(確定条件)。「たくさんいるならば」の意味ではない(仮定条件)。

古語では人間に対しても物に対しても「あり」を使う。

「忘られぬらむ」は「忘ら+れ+ぬ+らむ」。「忘ら」はラ行四段活用動詞「忘る」の未然形。「れ」は受身の助動詞「る」の連用形。「ぬ」は完了(強意)の助動詞「ぬ」の終止形〔な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね〕。「らむ」は推量の助動詞(終止形に付く)。「きっと忘れられてしまうだろう」の意味。

過去に対する推量は「けむ」で、現在に対する推量(あるいは推量一般)は「らむ」で、未来に対する推量は「む」。

完了の助動詞「ぬ」が強意になるのは、ものごとが確定して動かせないところから来ている。「きっと……してしまうにちがいない」

「数ならぬ身」は「取るに足りない人」。ここでは卑屈になって自分のことを語っている。英語でもcountは重要であるという意味を持っているのを思い出した。

はながたみ めならぶひとの あまたあれば わすられぬらむ かずならぬみは
はながたみ めならぶひとの あまたあれば わすられぬらん かずならぬみは

※単語の意味は『全訳読解古語辞典』(三省堂)を参考にしています。



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