※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです（結城メルマガVol.121より）

「Ｑ＆Ａ」のコーナーです。

このコーナーでは、結城メルマガの購読者さんからいただいた質問に結城が回答しています。いただいた質問は結城が編集する場合があります。また、複数人からの質問を混ぜて一つの質問にする場合もあります。どうぞご了承ください。なお、今回の質問は ask.fm に寄せられた質問を編集しています。

●質問

結城さんは先日「他人の行動を支配したいと思うことは少ない」というツイートをしていましたが、自分の行動を支配したいという思いはありますか。

●回答

ご質問ありがとうございます。

実はこの質問は、私にとってはそれほど単純なものではなく、いろいろ考えさせられるものでした。ご質問いただいてから折に触れて何度か思い出しました。

もともとの私のツイートでは「支配」という強い単語を使いましたが、それほど強い意味で使いたかったわけではありません。

人は性格がいろいろです。人のいうことを素直にきくタイプの人もいれば、自分で納得しなければ動かないタイプの人もいます。また自分で動くだけではなく、他人を動かす（動かそうとする）タイプの人もいますよね。

結城はこの最後の「他人を動かす」ことをシンプルに「支配」と表現してしまいました。ただ、支配という言葉は暗黙のうちに悪いニュアンスもついてしまうことがあります。結城はそういうニュアンスを込めたかったわけではありません。もう少しニュートラルに「人の行動に関わり、影響を与えたいと思うかどうか」というほどの話題を展開したかったのです。

以上はニュアンスの訂正です。

　＊　＊　＊

さて、結城は本を書いたり結城メルマガを書いたりして読者さんにメッセージを送っていますが、実は（信じていただけるかどうか疑問ですが）、他の人を「動かしたい」とはあまり思っていないようです。

もちろん、自分の知っていることや見つけたものを人に伝えたいという気持ちは大いにあります。それから、自分の文章に対して他の人が反応を返してくれるのはとてもうれしいですね。でも、（比喩的に言うなら）相手の手を取ってぐいぐいひっぱりたい、とまでは思っていないようです。

私は私の最善をあなたに伝える。あなたがそれを受け取ってくれたならとてもうれしい。でも、あなたがそれを受け取らないなら、その選択を尊重したいと思っている……自分の好みのスタンスを冗長な文章で表現するならこのようになりますね。

ここまでが「結城は人を支配したいという気持ちは少ない」の説明です。

　＊　＊　＊

ここまで来てようやくあなたの質問にたどり着きました。

　結城は、「自分自身、自分の行動」を支配したいと思っているか。

いうまでもありませんが、自分の仕事をきちんと果たしたり、生活に支障をきたさないように行動したいと思ってはいますから、そのレベルでは「支配」したいですね。「支配」というか「制御」でしょうか。

ただ、自分の心を、心の深いところを探ってみますと、私の根底にある願いは少しニュアンスが違うようです。私はどうも「自分のことを忘れていたい」と思っているみたいですね。

あわてて補足しますが「自分のことを忘れていたい」といっても、「自分が嫌いだから自分の行動から目をそむけていたい」という意味ではありません。そういうのではなくて……そうそう、結城がこの結城メルマガの「フロー・ライティング」というコーナーでよく話すように

　「自分のことを忘れるくらいに何かに夢中になっていたい」

という気持ちが私の根底にあるということです。

　「自分のことを忘れるくらいに何かに夢中になっていたい」

うん、それが一番しっくりきます。何かに夢中になっているとき、人間は自分のことを忘れています。自分の行動を自分で制御したり、支配したりということはどこかにふっとんでいる。そして「自分」ではなく「対象」の方に意識が向いています。結城はそういう心持ち、そういう状態が大好きです。

そして、だからこそ、文章を書くのが大好きなのです。考えを巡らせて、それを言葉として表現していく。波に乗り、フロー状態に入ると、自分も周りもすべて消えて、夢中になって書き進めることができる。やがて、はっと現実の世界に戻ってくる。

このような時間を、結城は至福の時間だと思っています。

文章を書くことに限りません。プログラムを書くことでも、文章を読むことでも、何でもいいです。時間を忘れるほど何かに集中し、夢中になる時間を過ごす。結城はそのような時間を重ねて人生を過ごしていきたいと思っています。

自分というものは大切だけれど、この世での命はいつか尽きる。この世のものというのはかりそめのものであり、人生は旅に過ぎない。

私たちはささやかな時間、この世を旅する旅人です。

その大切な時間を、夢中になって過ごすことができたなら、なかなかすてきなことだと思うのです。

　＊　＊　＊

ずいぶん質問と離れてしまったような、そうでもないような気持ちですが、以上で回答とさせてください。

ご質問ありがとうございました。

※Photo by webtreats.
https://www.flickr.com/photos/webtreatsetc/5972016444/

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