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防御反応していませんか(コミュニケーションのヒント)

事実を聞かれているにもかかわらず、自分が非難されていると思いこみ、防御反応をしてしまうことがあります。

あわてて防御反応をしてしまった例

 リーダーこのプログラム、入力画面に移るとき、ずいぶん時間がかかるよね?
 作業者A先週は風邪を引いてしまったから、しょうがないんですよ
 リーダー「え?」
 作業者A「月曜日の夜、急に冷えちゃって、火曜日から高熱になったんです。だから先週は作業時間、実質は一日しかとれてなくて」
 リーダー「おいおい、何の話してるんだ?」
 作業者A「入力画面に移るところの作り込みはまだ甘いと思っているんですけれど、どこが悪いかはだいたいわかっているんです。データベースへのアクセスが多すぎるんですよ。だから今日からがんばって…」
 リーダー「まあちょっと話を聞いて。データベースの担当者から連絡があったんだけど、設定のミスでスピードが激遅になっていたらしい。きみが担当している入力画面の部分でもデータベースを使ってたなと思ってね、入力画面に移るときに時間がかかっていたかどうかという事実を単に確認したかっただけなんだよ」
 作業者A「あ、そ、そうなんですか…」

この作業者Aは、リーダーからの「時間がかかるよね?」という質問を、自分が作った部分に対する非難だと判断してしまったようです。そのためにまず、自分が作業できなかった理由から述べ始めてしまいました

あわてず事実を返した例

 リーダーこのプログラム、入力画面に移るとき、ずいぶん時間がかかるよね?
 作業者Bはい、時間かかっています。今日からそこを調べようと思っていました」
 リーダー「あ、そう。実は、データベースの担当者から連絡があったんだけど、設定のミスでスピードが激遅になっていたらしい」
 作業者B「おやおや、そうなんですか」
 リーダーきみが担当している入力画面の部分でもデータベースを使ってたよね?
 作業者Bはい、使ってます。データベースへのアクセスが多いので、遅いのは私が書いた部分の作り込みが甘いからかな、と思っていました」
 リーダー「設定変更についてはあとでメールするよ」
 作業者B「わかりました。本来は先週調べればよかったのですが、風邪のため先週は月曜しか作業できなかったんです。すみません」
 リーダー「じゃ、よろしく」

この作業者Bは、リーダーからの質問に対して、自分が把握している範囲での事実をまずはストレートに返しています。そのため、コミュニケーションが比較的スムーズに進みました。

あわてて防御反応するのではなく、まずは質問に対して「事実を事実として返す」のは良い方法ですよ。

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