数学の答案を書くときに(日々の日記)
春休み、高校生の息子に数学を教えていました。息子の書いた答案を見ながら、結城はこんなことを言いました。
「数学の答案は小論文なんだよ。自分が何をどんなふうに考えたかを相手に伝えるために書く。計算の羅列を見せるために書くんじゃないんだよ」
そう言いながら(これってどこかで聞いたようなセリフだな)と思っていました。検索してみると、大阪府立大学の嘉田勝先生の以下のツイートでした。
数学の試験答案は作文というか小論文という意識を、受験生も大学生も持ってほしいなあ。
https://twitter.com/kadamasaru/status/572376996149272576
さらにさらに(自分もどこかに書いてた記憶があるな)と思い、記憶をたぐってみると、『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』の第2章(p.25)にありました。高校生の「僕」が中学生の「ユーリ」に諭すセリフです。
僕「問題を解いて解答を書くときには、読む人に対して、
・私は、こんなふうに考えました。
・だから、こんなふうに解いていきます。
・ほら、ちゃんと解けたでしょう。
みたいにアピールするんだよ」
結城はよく、文章を書く原則として《読者のことを考える》といいますが、数学の答案も同じであると思っています。もちろん試験時間に限りがあるときには難しいかもしれませんが、何かを「書く」という行為は必ず、「書かれたものを読む相手」に伝わるかどうかを意識しなければいけません。
これは、深い話です。
何かを書くときには必ず、読む相手に伝わるかどうかを意識する。これは、深い意味での「コミュニケーション」に通じると思います。
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もしも相手のことを考えないならば。
もしも相手に伝わるかどうかが気にならないならば。
いったい、何のために書くというのでしょうか。
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※結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2015年4月21日 Vol.160より
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