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ファン同士の人間関係に疲れてしまう(コミュニケーションのヒント)

質問

結城さん、こんにちは。

私は数年前から、とある男性芸人さんのファンになりライブに行くようになりました。

やがて他のファンの方々とも交流を持つようになり、最初のうちは楽しかったのですが、しだいにファン同士の人間関係に疲れてくるようになりました。

その芸人さんのライブ常連のファンは、アラフォーやアラフィフの女性が大半を占めています。彼女たちは、他の若い女性ファンにちょっとしたことで嫉妬をし、ときにはSNSに悪口や苦言を書き込みます。それが原因でライブに行けなくなった若い女の子もいました。そもそも「若い女はマナーが悪い」という偏見を持っているようです。

良い年をした大人が、どうしてこんな子供じみた真似をしてしまうのでしょうか。

結城浩のメールマガジン 2023年7月18日 Vol.590 より

回答

ご質問ありがとうございます。

なるほど。私にはファン同士の人間関係に疲れるという状況を体験した経験はありませんが、ご質問にあったようなことが起こるのは容易に想像できます。

年齢・年代がすべてだとは思いませんけれど、世代が違えば感覚も違います。また求めるものや「こうあるべきだ」と思う内容も異なります。

あなたが「ちょっとしたこと」と表現する振る舞いに対して別の人は重大問題と考える場合もありますし、逆にあなたが「とんでもないこと」と表現する振る舞いを別の人は軽視する場合もあるでしょうね。まさにそれが、世代ごとの感覚の違いですから。

同じ芸人さんに対するファン同士の人間関係に関していえば、ファン同士がいがみあっていては芸人さんに良いことは何もないわけですから、応援したい芸人さんによかれと思う活動を、お互いに心がけられるといいはずですよね。しかし、そもそも「何が良いことなのか」自体が、世代によってズレているならそれも難しくなります。さらに、お互いに相手を悪く思っていたら歩み寄る余地はなくなるでしょうね。

「若い女性のことをマナーが悪いと思っている」のは確かに上の世代が持っている、世代でくくる偏見かもしれません。でも「いい歳をして子供じみた考えをして」と思うのもまた、世代でくくる偏見といえなくはないですね。

どんな状況であれ、世代でくくるなら、くくられた方はたいていムッとくるものです。それは「決めつけ」だからです。それはお互いにそうです。できれば「そのような行いは、応援してるはずの芸人さんにとって迷惑になります」ということを、互いに伝えあえればいいのですけれど、お互いに相手を世代でくくるなら、そういう対話は難しいでしょうね。

その他に、いわゆる「同担拒否」の心理に近いものが根底にあったり、あるいは擬似的な恋愛感情や憧れの心理が絡んでくると話はさらにややこしくなってくると思いますが、私はそれ以上はよくわかりません。

守りたいものは何か、大切なものは何かをよく考えて動けたらいいのでしょうけれどね……

一般に、世代の話をするときには、若い人は年上の人を「自分もこれから向かうところ」と考え、年上の人は若い人を「自分も通ってきたところ」と考えて、寛容な気持ちを持ちたいところです。

私が思ったことは以上です。ご質問ありがとうございました。


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#結城浩 #コミュニケーションのヒント #ファン #芸人 #世代


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