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月影にわが身をかふるものならばつれなき人もあはれとや見む(壬生忠岑)

壬生忠岑みぶのただみね

月の姿に私を変えるなら、つれないあの人も「美しい」と思って——そして「かわいそうだ」と思って—— 私のことを見てくれるだろうか。

「月影」は、ここでは「月の姿」。

「ならば」は順接の仮定条件を表す「〜ならば」の意味。「ならば」は断定または性質を表す助動詞「なり」の未然形「なら」+接続助詞「ば」。「なれば」なら、順接の確定条件を表す「〜なので」の意味。この場合は已然形「なれ」+「ば」である。

「あはれ」は、ここでは「月のしみじみとした美しさ」と「あわれで気の毒な人」の二つを掛けている。

「〜とや見む」は「〜だと見るだろうか」という意味。「や」は係助詞で、末尾の活用語は連体形になり、疑問を表す(係り結び)。ここでは推量を表す助動詞「む」の連体形「む」で結んでいる。

つきかげに わがみをかふる ものならば つれなきひとも あわれとやみむ

つきかげに わがみをかうる ものならば つれなきひとも あわれとやみん

#壬生忠岑 #古今和歌集 602 #jtanka 

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