見出し画像

月影にわが身をかふるものならばつれなき人もあはれとや見む(壬生忠岑)

壬生忠岑みぶのただみね

月の姿に私を変えるなら、つれないあの人も「美しい」と思って——そして「かわいそうだ」と思って—— 私のことを見てくれるだろうか。

「月影」は、ここでは「月の姿」。

「ならば」は順接の仮定条件を表す「〜ならば」の意味。「ならば」は断定または性質を表す助動詞「なり」の未然形「なら」+接続助詞「ば」。「なれば」なら、順接の確定条件を表す「〜なので」の意味。この場合は已然形「なれ」+「ば」である。

「あはれ」は、ここでは「月のしみじみとした美しさ」と「あわれで気の毒な人」の二つを掛けている。

「〜とや見む」は「〜だと見るだろうか」という意味。「や」は係助詞で、末尾の活用語は連体形になり、疑問を表す(係り結び)。ここでは推量を表す助動詞「む」の連体形「む」で結んでいる。

つきかげに わがみをかふる ものならば つれなきひとも あわれとやみむ

つきかげに わがみをかうる ものならば つれなきひとも あわれとやみん

#壬生忠岑 #古今和歌集 602 #jtanka 

画像1


いいなと思ったら応援しよう!

結城浩 / Hiroshi Yuki
あなたからいただいたチップは、本やコンピュータを買い、多様なWebサービスに触れ、結城が知見を深める費用として感謝しつつ使わせていただきます! アマゾンに書評を書いてくださることも大きな支援になりますので、よろしくお願いします。 https://amzn.to/2GRquOl