能力の低さにイライラ/ストーリーが思いつかない/学ぶことのモチベーション/動機付けの多様性/心の機微を理解/
結城浩の「コミュニケーションの心がけ」2019年7月30日 Vol.383
目次
・能力の低さにイライラしてしまう - 仕事の心がけ
・小説執筆に憧れているがストーリーが思いつかない - 文章を書く心がけ
・学ぶことのモチベーション - 学ぶときの心がけ
・動機付けの多様性 - 教えるときの心がけ
・心の機微を理解したい - コミュニケーションの心がけ
はじめに
結城浩です。
いつもご愛読ありがとうございます。
* * *
映画『天気の子』の話(ネタバレなし)。
先日、彼女(妻)と二人で映画『天気の子』を観てきました。
三年前『君の名は。』も彼女と二人で観ましたので、あれから三年も経ったんだなあとしみじみ感じながら、新海誠監督の美しい画面と、RADWIMPSの音楽を堪能してきましたよ。
私たちが観たのはシネコンの中でも小さなスクリーンでしたが、スクリーンの大きさはまったく気にならず楽しめましたね。
◆映画『天気の子』公式サイト
https://tenkinoko.com/
映画公開に合わせてだと思いますが、アマゾンのプライムビデオでも新海誠監督作品が無料で視聴できるようになっていますね。結城は連作『秒速5センチメートル』の二つ目「コスモナウト」が大好きです。
◆『秒速5センチメートル』(アマゾンプライムビデオ)
https://amzn.to/312pVew
また「靴を作る」というメタファーが切なくも美しい『言の葉の庭』もいいですね。
◆『言の葉の庭』(アマゾンプライムビデオ)
https://amzn.to/32WvkFD
* * *
仕事の種まきの話。
「仕事の種まきをする」という表現があります。
すぐに収入にはならないし仕事にも結びつかないけれど、将来になって芽が出て花が咲き実がなることを期待する活動のことです。
ところで、いったん種が育って実を取り入れるころになると、自分が種まきしたときのことを忘れていることが多いもの。何だか昔から育っていた気分になるのです。あるいは、自分が最初から実がなることと確信して活動していたような錯覚に陥ることもあります。
昔から大きい実がなっていて、最初からすべてがうまくいって、紆余曲折がなくスッと成功した……そんな気になってしまうのです。
それって、きっとまちがった認識ですよね。
いまは実を取り入れているけれど、昔はただの種だったことを思い出しましょう。育った種もあれば、そうでない種もあります。最初から大きな実がなる種だけをまいていたのではないことを忘れないようにしましょう。
しっかり、思いだす。
しっかり、覚えておく。
さもないと、次の種まきに失敗するからです。
* * *
タバコの話。
先日、公園でCMみたいな一場面に出くわしました。
小さな孫娘に久しぶりに会ったらしいおじいちゃん。抱っこしたとたん「おじいちゃんタバコくさい!」と孫娘に嫌われていました。
おじいさん、しょぼん……
でも実際、タバコを吸っている人は吸っていないときも「タバコのにおい」がしていることがあります。
電車で隣に座った人からタバコのにおいがしてびっくりしたけれど吸っているわけではない、ということが何回かありました。
煙だけじゃないんですよね。
* * *
ちゃんと読めばわかるのかしら、という話。
「数式まじりの文章はなかなか読めない」という状態を画像で表現してみました。
数式まじりの文章がこんなふうに「わけがわからないもの」に見えている人も多いだろうな、と想像します。こんなふうに見えている人に対して、やみくもに「ちゃんと読みなさい!」と言ったり、「しっかり読めばわかるでしょ!」と言ったりしてもしょうがありませんね。
少しずつ解きほぐしたり、恐怖感をやわらげたり、読める部分を探したり……そんな工夫なしに「ちゃんと読みなさい!」と言われても、どうしようもありません。
学ぶ人の状態を知らないことには、的確な指導はできないでしょうねえ。学校の先生の努力には頭が下がります。
* * *
人間関係を壊さないための投資の話。
ずいぶん昔の話です。
出かけていた彼女と駅で夕方待ち合わせて買い物して帰るという場面がありました。
その日の私はたまたまコーヒーを飲み過ぎていて気分がやや悪く、しかも夕方で疲れていました。しかもノートパソコンの電池が少ない中で編集部と細かいやりとりをしていたところに、彼女から帰宅時間の通知が来たのです。
カフェイン摂取多め。血糖値低め。バッテリー少なめ。仕事多め。その状態で、疲れた私が疲れた彼女を迎える……
(ここで思案)
私は、彼女と会う前にコンビニで小さなスイーツを買ってモグモグ。
ふう、と一息つく。血糖値アップ。
疲れた彼女をにこやかに迎え、買い物を二人でなごやかにすませて帰宅することができました。
帰宅するまでのあいだには、駐車券の紛失や、待ち合わせ場所の誤認や、重い荷物の倍増や、サービスカウンターの大混雑……といった障害があったにも関わらず、私は彼女の疲れを増す失言をしないで済みました。疲れながらも二人でねぎらいつつ帰宅できたのです。
私の人徳ではありません。
あのときの「小さなスイーツを買ってモグモグ」が大正解でした。
人間関係を壊さないための投資、129円(税込)。
* * *
では、今回の結城メルマガも、どうぞごゆっくりお読みください。
能力の低さにイライラしてしまう - 仕事の心がけ
質問
自分の能力の低さにイライラしてしまうのをやめたいです。
能力の低さを意識することがモチベーションに繋がる場合も、ごくまれにはあります。でも、ほとんどの場合は、自分の集中力を乱す方向に働いてしまいます。
何かアドバイスをいただけると嬉しいです。
回答
ご質問ありがとうございます。
「認識の解像度を上げる」というのは一つの方法です。
「自分は能力が低い」と感じるときには、無意識のうちにものすごい一般化をしているものですから、それを注意深く変更していきます。それが「認識の解像度を上げる」ということです。
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