オリジナリティと本の価値(本を書く心がけ)
結城は数学者ではありません。ですから、自分が本の中に書く数学的内容というのは、どこかの本を見て学んだ内容であることがほとんどになります。
結城が書く本の多くには、巻末に参考文献や読書案内があります。数学的内容を学びたいならば、それらの参考文献を読めばだいたい書いてあるといえます。少なくとも情報としては書かれていることになります。だとしたら、わざわざ結城が新しい本を出す意味はどこにあるのでしょうか。
結城の本を読むよりも、参考文献に書かれている本を並べて読む方がいいというのなら、そうすることは可能です。もし読者さんがそうしないとすれば、読者は結城の本に何らかの価値を見出しているからでしょう。オリジナリティというのは、そのような、読者が見出す価値の一部をなすものではないかと思っています。
料理のメタファが有効でしょう。食材という素材があって、料理法があって、具体的に提供される料理があります。
料理を楽しむ人の中に「素材が同じなら、お腹の中に入ってしまえば、どんな料理も一緒」なんて言う人は少ないでしょう。
素材をどう料理して、美味しく楽しく食べてもらうのか。そこにオリジナリティがあります。
料理の価値は、食べる人が決める。本の価値は、読む人が決める。
そんなことを考えていました。
結城浩のメールマガジン 2016年4月26日 Vol.213 より
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