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自画自賛は恥ずかしくないか(本を書く心がけ)

質問

自画自賛するのは恥ずかしくありませんか。

結城浩のメールマガジン 2019年11月12日 Vol.398 より

回答

ご質問ありがとうございます。

自画自賛するのは恥ずかしいか、恥ずかしくないか。

よく考えてみました。「自分が作ったから」という理由だけで、自分の作品をほめたたえるのはいささか恥ずかしいときはありますね。

でも、自分の目で見て「うん、これはいいものだ!」と思った自分の作品をほめたたえるのはまったく恥ずかしくありません。

自分が書いた本の場合、長い時間を掛けて何度も何度も読み返し、こちらを直しあちらを直しバランスをとり、「うん、これはとてもいい!」となったところで刊行します。これは多くの場合、自分の目には「とてもいい」ものに映ります。そう作ったのだから、当然です。

自分が作ったものかどうかという判断を離れて「これはいいものだ!」と自分が思ったものをほめるのは恥ずかしくありません。また、たとえばネットでほめることで「いいもの」を広く伝えたくなります。

ですから結城の場合、強く自画自賛しているように見えるときには、実は「自分が作ったからほめている」のではなく「自分がよく知っているいいものだからほめている」のだと思います。作者が自分なのはいわば「たまたま」なのです。

はっ!

いま気づいたのですが、もしかしてこの質問は「自画自賛するなよ」という意味の皮肉だったのでしょうか。私は純粋な質問と解釈して答えてしまいました。

もしも皮肉だったらごめんなさい。まあ、皮肉じゃないよね。

クリエイタの中には、自分の作品をほめることに大きな抵抗を感じる人がいます。宣伝めいたことはやりたくない、ほめるなんてもってのほか、という気持ちは少し理解できます。その一つの理由は「これいいよ!」と伝えて「大したことないじゃん」と言われるときのダメージは甚大だからです。

自分の作品をほめるのに抵抗を感じるクリエイタさんに老婆心ながらオススメしたいのは、「ほめる」のではなく「適切な情報を読者に提供する」という気持ちになることです。ほめるほめないは重要ではなくて、どういう作品かを適切な形で読者に提供することが重要なのです。これは《読者のことを考える》という原則にのっとっています。

読者に提供する「適切な情報」が何であるかはクリエイタさんの考え次第ですけれど、少なくとも作者が自分の作品を「けなす」のはやめた方がいいでしょうね。

そんなふうに思っています。

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