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『いかにして問題を解くか』との出会いについて(Q&A)

※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです(結城メルマガVol.101より)

こんにちは、結城浩です。

「結城メルマガ」読者さんからの質問に答えるコーナーです。

質問は、必ずしも読者さんからの文章そのままではありません。結城が編集したり、複数人の質問を一つにまとめたりする場合があります。ご了承ください。

●質問

G・ポリヤの『いかにして問題を解くか』について書かせていただきます。

この本は『数学ガール』第1巻の参考文献として一番に上げられており、きっと特別な思いをお持ちなのだろうなと思います。「秘密ノート」の方では書名も出てきましたね。また、「僕」が自室で問題を解いているシーンの描写も、この本に大きく影響されているように思えます。僕が一番好きなシーンです。

僕自身とこの本の関わりですが、父の書斎に昔から置いてあり、小さい頃手に取ったことがありました。ですが、訳が悪いせいかかなり読みにくく感じ、あきらめてしまいました。

高校3年生のときに、書店の洋書コーナーで原著の"How to solve it"に出会い、英語の実力アップもかねてしばらく読んでいました。本当に面白く、繰り返し学びたいと思える本でした。

そこで質問させていただきます。結城先生は、いつ、どのようにしてこの本と出会ったのでしょうか。そして、この本から一番学ばれたことは何でしょうか。

メルマガの中でお答えいただければ幸いです。重ね重ね、結城先生、ありがとうございます。これからも「理系にとって最強の萌え」を。

●回答

ご質問ありがとうございます。また結城への応援メッセージもありがとうございます。

ポリア(結城もよく「ポリヤ」と表記するのですが、書籍の原作者名としては「ポリア」と表記されていますね)の『いかにして問題をとくか』は私のとても好きな本です。

初めてこの本に出会ったのがいつかは覚えていません。たぶん高校時代だったと思います。

当時「洋書にチャレンジする」のにハマっていた自分は、翻訳書を読んでから"How to Solve It"を入手し、読もうと努力していました。そういう意味ではちょうどあなたと同じような体験をしていたことになりますね。

ただ、正直に言いますと、私の当時の英語力ではそれほど読みこなせなかったですけれど。

結城は「問題解決をする」というものの考え方が好きです。問題を解決することそのものも好きですが、問題にどのようにアプローチして解決に至るのか、そういう道筋をつけていくのが好きです。

数学ガールシリーズのキャラクタたちも私と同じように、問題へのアプローチに関心があるようですね。特に「僕」とテトラちゃんはその傾向が強いかもしれません。

世の中を生きていく上で「問題」から逃れることはできません。学校を卒業してしまえばいわゆる試験やテストの問題からは逃れるかもしれませんが、もっと大きな問題は次々にやってきます。

人生に関わる重要な問題ならまだしも、「これ、私が解かなきゃいけないの?」という切ない思いを抱くこともあります。

そんなとき、「問題をどう解くのか」という、一つメタなレベルに思考をシフトするのが好きです。「問題そのものを解く」のではなく「問題をどのように解くか」という問題を解くつもりになるのです。そのシフトは私のお気に入りの思考法であり、「解きたくもない問題をどのように解くか」という問いへの、自分なりの解法でもあります。

ポリアの「いかにして問題をとくか」というのは、数学の発見的解き方を解説した良書であると思います。数学に限らず、問題にどう取り組むかも書かれていますね。

確かに訳文はこなれていないところもありますし、本文の中には意味のよくわからないところもあります。しかし、そのためにかえって再読するたびに発見があるのもほんとうです。読み返して飽きることがありません。

私の書く「数学ガール」シリーズや「数学ガールの秘密ノート」シリーズでも、「問題の解き方」……というか「問題への取り組み方」というのは大切なテーマの一つです。そのテーマがあるおかげで、数学に対する興味がそれほどない読者にも知的興味を持って楽しんでいただける本になっていると思います。

その意味でも、私の本の中にはポリアの『いかにして問題をとくか』が強く息づいているといえます。

実は私の書く本は『いかにして問題をとくか』を実践している本と言えるかもしれませんね。ポリアの本の場合には、本を読んだ読者が問題を解くわけですが、私の本の中では登場人物が問題を解いているのですから。

「この本から一番学んだこと」というのは一言でまとめることは難しいですが、問題を「大きなかたまり」として見るのではなく、「いくつかのステップ」に分けて見るということでしょうか。

そして大事なのは、問題は解いて終わりではないということ。問題は一つ解いて終わりなのではない。その問題を解くことが次の問題をよりよく解くための道しるべになってくれる。だからこそ解いた後の「ふりかえり」が大事になる。

……そのようなことを『いかにして問題をとくか』から学んだように思います。

ご質問ありがとうございました!

※Photo by webtreats.
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結城浩

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結城浩

書籍執筆者。著書に『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など。http://bit.ly/hyuki-mm にて「結城メルマガ」をnote配信中。https://bit.ly/girlnote にてcakes連載中。2014年度日本数学会出版賞受賞。

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