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出版社にどんな企画を出せば本になるんですか?(Q&A)

※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです(結城メルマガVol.038より)

「Q&A」のコーナーです。このコーナーでは購読者さんからいただいた質問に結城が回答しています。いただいた質問は結城が編集する場合があります。また、複数人からの質問を混ぜて一つの質問にする場合もあります。どうぞご了承ください。

質問は随時受け付けていますのでいつでもどうぞ!

●質問

結城先生へ。メールマガジン拝読しています。

結城先生はたくさん御本を出版していますし、メールマガジンやWeb連載などで活躍なさっています。私もこれから本を出版したり、おもしろい企画を作っていきたいです。

私は現在会社に勤めていますが、出版社から本を出そうと思ったときによくわからないのが出版社が本の企画を選ぶ基準です。自分がどんな企画を出せば本になるのかがよくわかりません。そのことを教えていただけますか。

なお、メールマガジンにお書きになっていた、アマゾンの自費出版の話はまだ私には実力不足のような気がしています。

●回答

こんにちは、結城です。ご質問ありがとうございます!

出版社が本の企画を選ぶときの基準がどうなっているかという質問ですね。確かに出版社から本を出したいと思ったときには気になるポイントですね。

といっても、結城自身は出版社ではないので、ほんとうのところは私にもわからないのです。ですので、あくまで一人の書き手の考えだと思ってお聞きください。自分のこれまでの経験や、知人からの情報をもとにしてのお話です。

まず、大前提として、出版社は本を売って会社を経営しています。ですから「売れる本」であることはとても重要な要素ですね。出版社が「この企画は確かに売れる」と思うなら、その企画が本になる可能性は高いですよね。これはまあ当然といえば当然です。

もう一つ大事なのは「ラインナップ」のようなものです。学術的な本だけを出している出版社から柔らかい本を出すのは難しいかもしれませんし、逆もいえますね。ですから、あなたが出したいなと思うような企画の本と傾向が似ている出版社と話をするのはいいかもしれません。

でも、一番大事なのは《読者のことを考える》だと思います。

 あなたが出版しようとしている本の受け取り手は誰だろうか?

そういうことを考えるのです。出版社について考えるのも大事ですが、最初に考えるのは読者のことじゃないかな、と思います。

自分が書く本や企画について考えるときの流れとして、

 こういう対象読者に対して、こういうことを伝えたい。
  ↓
 だから、本という形にして……
  ↓
 ……こういう出版社から出版する。

このような流れで考えを進めるのは健全な考え方だと結城は思います。少なくとも結城はどんなときも、このように考えたいと思っています。

結城の場合は「売れるから書く」という要素は(ゼロとはいいませんが)低くて、読者と題材が重要ですね。

題材というのは自分の興味といってもいいかもしれません。自分がいま夢中になっている題材、人に伝えたくて伝えたくてしょうがないこと、おもわず人を捕まえて、

 「ねえねえ、こんなのがあるんだよ、知ってた?」

と言いたくなるようなこと。これが題材です。

伝えたくてしかたがない題材と、伝えたくてしょうがない相手(読者)、この存在が非常に重要です。あとは料理の方法を自分なりにじっくり考える……というのがよい方向だと思います。

もちろん「そのようにすれば企画が通る」なんて保証はどこにもありません。題材がいま一つだったり、読者さんがいなかったり、あるいは読者さんはいるのだけれど出版社を説得できなかったり。

さらにいえば、企画は通ったけれど自分の著者としての力量が不足して完成まで至らず残念な結果になる場合もありでしょう。まあ、でも、これはどんな仕事でもそうですよね。

いま思い返してみると、結城自身も、企画を無事に通して進行してみたものの、途中でキャンセルさせていただいた企画がうわあああ(頭を抱える)。

……それはともかく、読者のことをよく考えて、伝えたくてしかたがない題材を、そのような題材の本を扱いそうな出版社にもっていく。というのがよいと思います。それ以外の方法は、結城はよくわかりません。

こんなところで、答えになっているでしょうか。

そうだ。アマゾンの話。

アマゾンの自費出版(自己出版)システム(Kindleダイレクト・パブリッシング)は、出版社を通すことなく自分で企画を通せるシステムです。何しろ、電子書籍のファイルを作って送信すればいいだけですから、出版社(編集部)を説得するというプロセスは不要です。好きに作って好きに出せばいい。

でも、よくよく考えますと、これはたいへんなシステムです。つまり、

 「編集者がいなくてすむ」

わけじゃなく、

 「編集者の役割を自分がしなくちゃいけない」

ということですから。編集者の役割と仕事の意味については、またいつか結城メルマガでも考えてみたいと思います。

ご質問ありがとうございました。

何かのお役に立てたらいいのですが。

 * * *

※Photo by webtreats.
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結城浩

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結城浩

書籍執筆者。著書に『数学ガール』『プログラマの数学』『数学文章作法』『暗号技術入門』など。http://bit.ly/hyuki-mm にて「結城メルマガ」をnote配信中。https://bit.ly/girlnote にてcakes連載中。2014年度日本数学会出版賞受賞。

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コメント1件

取り次ぎが「部数」とってくれるような企画を出せばいいんですよ。数字握ってるのは彼らですから。
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