不完全な情報から一歩を踏み出す(コミュニケーションのヒント)
※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです。
* * *
こんにちは、結城浩です。
不完全な情報が提示されると、つい「困ったね」と止まってしまいがちなものですね。
よりよい情報を得るための「もう一歩」を踏み出してみる工夫が大切です。
×不完全な情報から踏み出せないでいる例1
上司「現在わかっている問題点は何かな?」
部下A「モジュール1がなぜかビルドできないんです」
部下B「あ、それは解決しました。ヘッダが古かったんですよ」
部下A「ちがうって、試したけど原因はそれじゃなかった」
部下B「変だなあ」
部下A「おかしいなあ」
上司「困ったねえ」
部下A「……」
部下B「……」
×不完全な情報から踏み出せないでいる例2
上司「現在わかっている問題点は何かな?」
部下「今朝、先方からライブラリのリリースが遅れるかもしれないと連絡が入りました」
上司「それは困るな」
部下「……」
上司「遅れては困るんだよ」
部下「……」
上司「困る」
部下「……」
上の例のように上司が《部下と一緒に困ってしまう》という状態では困りますね。
△不完全な情報から、一歩先に進もうとする例1
上司「現在わかっている問題点は何かな?」
部下A「モジュール1がなぜかビルドできないんです」
部下B「あ、それは解決しました。ヘッダが古かったんですよ」
部下A「ちがうって、試したけど原因はそれじゃなかった」
上司「原因はさておき、Aくんのところでビルドできないのは事実?」
部下A「はい」
上司「じゃ、BくんはAくんの環境をみてほしい。そして状況を整理してから再度報告して。明日くらいまでにね」
部下A+B「わかりました」
△不完全な情報から、一歩先に進もうとする例2
上司「現在わかっている問題点は何かな?」
部下「今朝、先方からライブラリのリリースが遅れるかもしれないと連絡が入りました」
上司「それは困るな。どのくらい遅れるか、具体的な日付はあった?」
部下「いえ、いまのところは遅れそうという情報だけです。理由もまだよくわかりません」
上司「わかった。じゃ、遅れる理由と、どのくらい遅れそうなのかを確認してほしい。今日中だな」
部下「わかりました」
こちらでは、上司は少し上の視点から見ています。そして、
・事実は何か?原因は何か?
・わかっていることは何で、わかっていないことは何か?
・あいまいな点をもっと明確にできないか?
などを手がかりに次の一歩を探っていますね。
あなたは、不完全な情報がやってきたときに《困ったな》で終わっていますか。それとも、よりよい情報を得るための「もう一歩」を踏み出していますか。
※Photo by webtreats.
https://www.flickr.com/photos/webtreatsetc/4293531423/
※結城浩はメールマガジンを毎週発行しています。あなたも購読してみませんか。
http://www.hyuki.com/mm/
※以降に文章はありません。「投げ銭」感謝。
ここから先は
0字
¥ 100
あなたからいただいたチップは、本やコンピュータを買い、多様なWebサービスに触れ、結城が知見を深める費用として感謝しつつ使わせていただきます! アマゾンに書評を書いてくださることも大きな支援になりますので、よろしくお願いします。 https://amzn.to/2GRquOl